第4話 名を尋ねる時はまず自分から
虎髭男は劉備の名を知っていた!これはどういうことだ!訳が分からん!ということで劉備は虎髭男に尋ねることにしました。
「ええ、私の名前は劉備玄徳といいますが・・・何故私の名前をご存じで?」
「知り合いがお前のことを高く評価していたのでな、俺もお前の名前と特徴を憶えてくことにしたんだ。直接会って話をしてみたくてな。でも期待外れだったぜ。」
「期待させといて申し訳ありません。・・・こちらからも1つ尋ねてもよろしいでしょうか?」
「何だ?」
「あなたとその知り合いの名前を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
劉備と虎髭男は互いに名を名乗っていなかったのだ。
それに気づいた虎髭男は頬を右手の人差し指で少し掻いたあと、大声でこう名乗った。
「俺の名前は
「でも今は都合が悪いんですよね?」
「・・・お前死にたいのか?」
劉備の人を恐れぬ淡々とした受け答えに、張飛の方が怒りの声をあげた。
「いえいえ、そんなことはありませんよ。ではこれにて失礼。」
「待て!」
「何なんですか。もう話すことは無いでしょう?」
「俺はそこで豚肉屋をやっている。関羽は街外れで学問を教えている。もしお前が民のために立ち上がろうという気になったら俺たちに声をかけろ。以上だ。」
張飛はそう言うと劉備に背を向けて自分の店に帰っていった。
劉備は張飛の後ろ姿に一礼をすると3度目の正直とばかりにその場を早歩きで去っていった。
張飛が自分の店に戻ると赤い顔と美しい長い髭が特徴の関羽がいた。
「あ、兄者!来ていたのか!」
「うむ。張飛よ。店をほったらかしてどこへ行っていたのだ?」
「それがだな兄者。劉備と話をしていたんだ。」
「何!劉備殿と!それでどうだった!」
「兄貴の言う通りに大声でビビらすように話しかけてみたよ。でも劉備の奴まったくビビることなく返事をしてさ。しかも、その後俺に対して臆することなく淡々と話をしてきやがった。」
「お前の姿を見て臆することなく淡々にとな。・・・やはり噂通り面白い男だな。」
関羽は自慢の長い髭をなでながら張飛の話を興味津々に聞いていた。
「面白いって何がだ?」
「すぐにわかる。」
関羽はそう言って1人笑った。
一方劉備はというと冷汗全開、急ぎ足で家に向かっていた。
(ビビった!マジでビビった!あれ以上あの場にいたら気を失うところだった!)
劉備は張飛と会話していた時のクールな表情はどこそれへ。情けない表情で荒野を駆けるのであった。
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