第14話
教会はえらい。
教会は正しい。
教会はこの世における最高権威である。
小さいときから、ファルラは教会を信じていた。
しかし、その教会の庇護を最も受けてしかるべきリサには、両親がいなかった。
でもそれは、子供心にはなんとも思わなかった。教会の皆が家族以上に彼女に接し、また彼女を崇め奉っていたからである。
しかしそれが、物心が付くほんの少し前に歪められた物語の上に立っているとしたら。
その断絶された物語を受け継ぐ存在であるリサ。
そして、それを断ち切ると同時に
思わず、ファルラは過去をぶちまけていた。
幼い頃のリサの優しさ。
彼女を護るために聖騎士になったこと。
ユーリと同じく儀式がなされ、
彼女を連れ出して、あてもなく、旅をしていること。
彼女が元に戻ることだけを願って。
「護れなかった俺、最低です」
思わず、ファルラは涙を浮かべる。
「それは儂も同じじゃ」
そういうと、リュディウスは立ち上がり、ファルラの前に立つ。
「儂の娘を、ファルラ、君に預けたい。もう老い先短い儂ではどうすることもできん。娘を元の人間に戻してくれぬかのぅ」
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