第13話
「そうして儂はユーリの父親から天使の使役者になってしもうた」
紅茶をすすりながら、リュディウスはいう。
「ユーリは強い。どの天使よりも強い。最強、といって差し支えなかろう」
そういって、幾つかの都市の名前を挙げる。
その中には、ファルラとリサの故郷の名もあった。
「異教徒どもの住まう地を、ユーリは瞬く間に支配してもうた。皆殺しさ、ああ皆殺し。そのうち、異教徒の側が怖じ気づいたか、自ら改宗を始めだした」
リュディウスからカップを受け取ったユーリは、紅茶を注ぐ。
「異教徒を街を掃討した後、叙勲され、高い地位も約束された。しかし儂は、娘にそれ以上の穢れを追わせることはできんかった。ユーリを手元に置くことを認めさせ、教会を去ってここにおる」
「そうですか。俺たちの街も」
「あの街か。美しい街じゃったからのぅ。司祭の夫婦が身代わりになることで、街は護られた。あの街の神話は換骨奪胎されて、いまじゃ、この教団の一大巡礼地じゃ」
その話をリサはきょとんとした表情で聞いていた。
「リサ――彼女はその司祭夫婦の娘です」
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