第6話

 ファルラの視界に淡い光が飛び込んできた。


「リサっ!」


 その呼び声に光は進む方向を変え、彼へ近付く。


 長槍と翼を持った真っ白な少女が月夜に舞い降りる。


 幻想的な風景――ファルラには何度見ても魅惑的な光景であった。


「マスター。心拍数上昇、体温上昇」


 顔立ちの整った細面の、大きな瞳が覗き込むようにファルラに迫る。


「マスター、身体異常。回復プログラム読込」


 リサは言うなり、自分の胸元に手をかける。連動するように、白い服が徐々に透けていく。


「精神回復プログラ……」


「ちょーっと、待って!!」


 ファルラは血相を変えて、異議を唱える。ややうつむきながら。


「そ、それはめてくれ」


「命令?」


「命令っ!!」


「イエス、マスター」


 リサの白い服は再び淡い光を取り戻す。


「マスター、血圧」


「気にしなくていい」


 いうなり、ふいとあさっての方向を向くファルラ。


「ただ……」


「ただ?」


「そばにいて、くれる、だけでいい」

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