第4話
リサの羽音が消え、滑空状態に入ると、ファルラは閉じていた目を開いた。
眼下に広がる暗闇。
天空に広がる無数の星々。
赤みを帯びた月の方向へ迷うことなく飛んでいく。
空を飛ぶ。怖いと言えば、怖い。それでも視覚が大きく制限されているだけファル
ラにとって夜のほうがマシだった。
「※@♯+¥%=♭」
絶対に手を出すなよ。ファルラは言おうとしたが、リサが羽ばたくのを鎮めてなお、強烈な風が正面から吹き付け、言葉を遮る。
「イエス・マスター」
背中に当たるリサの胸を通じて、言葉が届けられる。
やがて、暗闇に覆われた大地に一点の
ノッポ、チビ、デブ。
だが
ファルラは空中でリサの腕をふりほどくと、ノッポの頭めがけて蹴りを入れる。鼻の頭と顎が鈍い悲鳴を上げる。
「な、なんだ?」
「あっ、アニキ!」
ファルラは地に足を着けるやいなや、デブに向かって迫る。
もはや戦意を喪失した敵に武器など必要がなかった。
拳を
「残りは一人か?」
「うわあぁぁぁ」
ほうほうの体で逃げ出す荒くれのチビ。
「忘れ物だぞ」
脅しに使っていた短刀を
襲われていた馬車も、もうその場にはいなかった。
「恩を売って乗せてもらおうと思ったのだが、まぁいいか」
リサも少し遠くまで飛んでしまったようで、姿が見えない。
伸びた二人の男を尻目にファルラは歩き出した。逃げた男のほうに行くのは
そんなことを考えながら、ファルラは再び闇の中へと消えていった。
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