第2話

 リサの真っ白な髪の束、それがいきり立つと、すーっとほどけて拡散していく。


 それが今の、彼女の警戒の合図だった。


「マスター。反応――ニンゲン、三体。接近中」


「山賊か夜盗の類いだろうな」


「イエス」


 ファルラの問いに短く答え、うなずく。


「どのくらい離れている?」


「ニンゲン、走ル、半時」


「だいぶ遠いな」


「マスター、殺ル?」


「リサ、その物騒な物言い、どうにかならないのか?」


「変更、可。但シ、今、不可」


「わかったよ」


 ファルラは嘆息する。


「とりあえず放っておこう。後で教会に通報されて面倒になっても困るからな」


「イエス、マスター」


 抑揚のない肯定がファルラの耳に届く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る