「カクヨム」が「新しい」「などと」と思っている人達へ。
スチュ・ミルフェイク/草田匿名
第1話 「カクヨム」というものの欺瞞
くだらない。
「カクヨム」というものの存在を知ったのはつい最近の新参者だが、これを「画期的」とか思っている人が商業デビューするなんておそらく夢のまた夢だろう。
「オープンソースである」「ネットという拡散性がより大きな話題性を生む」「ラノベに限らず様々なジャンルに適応できる」。このような利点のどこがセンセーショナルだというのか?
それは一昔前で言えば『作家でごはん!』だとか現在で言えば『なろう』とどこが違うのか? ということだ。
唯一面白みがあるとするなら、「カクヨム」を主にマネージしているのが大手出版社であるKADOKAWAであるということと、比較的ラノベを中心とするレーベルの眼にとまりやすく、内容があればそれらの推薦を得られて名前がそれなりに売れる、ということくらいだ。
でもそれもたかが知れている。ハヤカワとか創元みたいなスゴイとこが噛んでくるのなら前途あるなあとは思うだろうけれど、あなたの夢とは所詮、そこらへんのラノベレーベルにひっこぬかれて「ラノベ作家」として馬車馬のように働かされ不遇な人生を送るということなの?
では現在がなぜこんな「一億総作家社会」になってしまったかというと、結局みんな「自分を暴露したい」のだという下心があるという一言に尽きる。
最近では「ラノベなんて結局陳腐なプロットがくっついただけの漫画じゃないか」という老人たちの偏見を払拭すべく、「俺たちの想像力ナメんなよ」とばかりに、広義のラノベとは一線を画しているように思える作品群が台頭しだした(というか久しい)。実際大学教授をはじめとする読み巧者達は、実は最初はラノベのフットワークの軽さがなせる実験的な試みに対して、密かに期待を持っていた。だが次第にマンネリ化し、うすっぺらい物語の焼き直しにすぎないという本質を分かってくると、いっせーのせでそれらを一蹴してしまった。
「一線を画しているように思える作品群」というのは、筆頭をあげればメディアワークス文庫のそれである。つまり、頭悪そうなラノベよりは中身が詰まってるけど、それを一般的な娯楽小説に仲間入りさせるにはまだハードル高いかな……といったものたちである(ビブリオなんちゃらとかタレーランなんちゃらとかホーンテッドなんちゃらとかのことだ)。グレーゾーンな領域のものである。
実際に掲載される作品たちを一瞥してみると、『なろう』的なものにのっかるやつらとどこが違うんだよ! とか思いたくなる。もちろんそういう毛色じゃないものもたまにあるが、そんなら普通にどっかの新人賞に応募するか、自分でサイトつくってそこでやれよとか思いたくなる。あと一番(舛添なみに)セコイと感じるのは、誰も知らないようなマイナーな公募新人賞に応募してしてみて、「二次選考まで残ったぜ!」という触れ込みでろくに加筆修正もせずこの場に転載しちゃうような輩だ。まあ妥協しちゃったのかな。
でもクールダウンとして冷静に考えてみると、別にわざわざ紙束を郵送して一抹の期待を抱きながら結局何の応答もなく、やっぱダメか……と毎月がっかりするような「しんどいこと」なんてしたくない人間がもしかしたら割といるのかもしれない。
適当に面白いこと思いついてそれをたまたま有用性のあるメディアに投稿してみて、評判がよければ知名度も上がって、運がよければ売れたりして……それってマジ楽勝じゃん。という思考回路というか時代の趨勢というかスタイルが先行しているのかな、という若干諦めにも似た気持ちがある(それは今時の出版マーケティングのセオリーに即してみればクレバーなやり方であることは確かに正しい)。それが悲しさ=しょうがなさ=しょうもなさという今の率直な感想につながらざるを得ない。
なんか書いていて落ち込んでずーんと疲れてしまったので今日はこのくらいにしておこう。皆さん頑張ってください(棒)。
「カクヨム」が「新しい」「などと」と思っている人達へ。 スチュ・ミルフェイク/草田匿名 @kusadamasato
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