家が変われば悩みも変わる

 さて、めでたく引っ越しを終えたわけだ。


 前の住居の最大の悩みであった騒音からは一切解放された。夜中に心を戸惑わせる声や、飲んだくれの声も聞こえない。お隣さんとの壁が厚いらしく、生活音もほとんど聞こえず、たまに聞こえるのは窓の開閉や玄関のドアを開け閉めする音くらいだ。


 平和が訪れた。


 睡眠サイクルも以前のようにリズムを取り戻し始めたし、昼間に上の階からの足音がうるさいと思うこともなくなった。


 しかし、だ。


 やはり人間というものは良いことだけではなく悪いことにも目が行く。新たな住居は前のアパートに比べて作りが雑なのか、ところどころアレ?というところがある。ついでに、周りの環境ももう少し丁寧に観察すればよかったなと若干後悔している。


 気になるポイントと住み始めて1ヵ月の間に起こったことを箇条書きにしようと思う。


1.ある時期はずっとたい肥のにおいが地域を支配している。田舎だから仕方ないが、非常に臭い。窓を開けたくない。


2.あらゆる立て付けが悪い。

床がミシミシ。閉まらない扉がある。トイレの鍵が機能していない。


3.庭に雑草が生え放題。

タンポポが群生している。庭木には蜘蛛の巣が大量にできている。大家よ、せめて最初くらい手入れしておいてくれよ。ちなみに、野良猫や野良蛇がいる。


4.家じゅうがペンキくさい。

聞いた話によると、大家は半年前にこの物件を購入し自分でペンキを塗ってリノベーションしたとのこと。仕方ない。


5.虫が多い。

さすが田舎。巨大なハエを筆頭に、巨大蜘蛛、巨大蚊(ガガンボというらしい)の他、名前の知らない虫も家に侵入してくる。虫が苦手な私にとっては試練の夏であった。


6.ゴミの回収が二週間に一度。

リサイクルの週と一般ごみの週が交互にやってくる。生ゴミは毎週。


7.テレビが見れない。

大家と交渉すること1ヵ月。リオ五輪を一秒たりとも見ることができず、もうテレビが見れなくてもいいかと開き直ったタイミングで大家が電機屋を呼んでブースターを新品に交換。直った。が、次の日にテレビが壊れた。


8.ブラインド落下。

窓にカーテン代わりについているブラインドを閉めようとしたら落ちた。丸ごと落ちた。老朽化が原因。


9.水漏れ。

イギリス住宅問題では鉄板の水漏れ。住み始めて一週間で天井に入居時にはなかったシミを発見。すぐに大家に連絡した。バスルームからの水漏れであった。


10.水道水に何かが混じる。

青くて細い、ゴムのような何かが混じるようになった。よりにもよってキッチンの蛇口からだけ出る。大家や配管工に相談したが解決せず。水道水は飲まないが何だか気持ち悪いから早く直してほしい。


 これだけ不満や問題があっても、それでも前の物件よりはずっといいと思う。夜が平和だからだ。それに、これくらいの問題であればイギリス全国どこに引っ越してもどうせ似たような問題に直面する。


 イギリスに住み始めてからたくましくなったと思う。家の問題は可能な限り自分で解決するようになった。いちいち大家に相談していてもキリがない。それに、DIYが盛んなこの国では家のメンテナンスに関するグッズに困ることもない。


 でも、これ以上面倒な問題は御免です。

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