古い家ほど価値がある

 イギリスの住宅事情で驚いたことがある。それは古い家ほど価値があるということだ。


 日本だと築年数が長いオンボロアパートを賃貸するとなったら、場所にもよるけれど新築のアパートよりはずっと安く借りることができる。それに、長年住んでいたアパートがボロくなってきたら交渉次第で家賃を値下げすることだってできるだろう。


 イギリスだと逆なのだ。古くなったら家賃を値上げされる可能性がある。イギリスの住宅価格は右肩あがりということもあり、賃貸料もどんどんあがる。もっとも、EUを離脱することが決まった今、将来もこの傾向が続くかは分からない。


 イギリスでは古いものを大切に、それはもう大切に扱う。だから、借りようとしているアパートの築年数が数十年になっていようともあまり心配はいらない。なぜかというと、家の外観が朽ち果てていたとしても内装は新築同様だったりするからだ。


 これは多くの物件に共通することだと思うのだけれど、家の外観よりも内装が立派なことはよくある。引っ越しのために物件を見ていた時もそう感じた。よくメンテナンスし、改装し、そして高く貸し出す。あるいは、売りに出す。引っ越しを考えて物件を探していると、そんな住宅事情が垣間見える。


 総じていえば古い家も悪くない。むしろ、今となっては新築の家に住みたくないとすら思う。なぜなら、イギリスの新築アパートは欠陥が多いからだ。


 まず、新築なのに立て付けが悪かったり、どこかが壊れていたりすることがよくある。ありとあらゆるものが壊れていく。そして、電話線やらインターネット接続を新築の住所で初めて行うことになるので開通するまでに何週間も時間がかかる(ことがあるらしい)。


 そして、新築だと壁が薄いことが多いようだ。以前、物件の見学をしていた時に不動産屋のスタッフに「この物件の壁は薄いのか、厚いのか」と、聞いたことがある。結論から言うと、分からないとのことだった。


 だが、スタッフいわく、築年数が浅い物件ほど壁が薄いことがあって、それは建築関連の法律が変わってきているため、だそうだ。昔の家はレンガで家と家の間を作っていたから、それが防音の役割を果たしていたのではないか、と。


 真偽はともかく、面白いことを学べたと思った。壁が薄いか厚いかというのは住人にとっては切実な問題だ。騒音問題と直結するからだ。次の話は騒音にしよう。そうしよう。

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