日本の電化製品が恋しい
私が今借りている家には冷蔵庫、洗濯機、食洗機がもともとついていた。他の家具はついていない。
冷蔵庫は入居した時に中を隅々まできれいに拭いて使い始めた。冷蔵庫内の結露がすごいが、なんとか使えている。ちなみに設計ミスではないかと思うほど使いづらく、特に冷凍庫は狭い上に、中のものを取り出しにくい。
先日、電気屋で新品の冷蔵庫を見たところ、ほぼ全ての冷蔵庫が我が家の冷蔵庫と同じ造りになっていて愕然とした。使い勝手や効率という言葉は死語なのだろうか。どうなってるの、イギリス。
食器洗い機は使っていない。正直に言うと、食洗機は信用していない。もっと言うと、イギリスの食洗機は信用できない。なので、私は狭いシンクで日本式にせっせと毎日食器を洗っている。
私がイギリスの食洗機を信用できないのには理由がある。
まず、イギリス式の食器の洗い方を説明したい。最初にシンクに水をためて、洗剤をたらして泡立てる。そこに、食器をどぼんと入れて、必要であればスポンジなどでこする。そして、その食器をティータオル(日本のふきんを丈夫にして長くしたような布)で洗剤もろとも水気をふき取って、終わり。面倒な人は水気をふき取ることすらせず、泡がついたまま食器を乾かすかごに立てかけるというウワサも聞く。
そう、すすぐというステップが存在しないのだ。
シンクの横に小さなシンクが併設されていて、そこに水をためてすすぐことが出来るキッチンもあるが、水を流して洗剤を流すのが当たり前の私にとっては到底受け入れられない洗い方である。
そんなイギリスの食洗機が信用できるわけがない。きっと洗い終わっても洗剤でヌメヌメだったりするのだろう。もしかしたら、きちんと洗えるのかもしれない。けれど、なぜか使う気になれないのである。
最後、洗濯機もついていた。仕方ないから使っているが、こいつはもう、ダメダメである。
イギリスの洗濯機はほぼ100%といっても過言でないほど全てドラム式だ。電気屋に行っても日本で主流の洗濯機は見ることが出来ない。こいつが厄介なのである。
入居した時、洗剤を入れる部分を引き出してみて鳥肌が立った。黒かびがびっしりと生い茂り、全体的にぬるぬるとしていたからだ。洗濯槽の部分もかび臭くてげんなりした。不動産屋のスタッフに、これを掃除するのは誰の責任なんだと問うたら、言葉を濁しながらも普通は前の住人がやるべきところよネ、としれっと言われた。前の住人は、既にお引越し済みである。
その後、徹底的に掃除をし、手が届くところは可能な限り掃除をしたが、結局洗濯槽のカビの跡は頑固にこびりついたまま、キレイにはならなかった。きっと何代にもわたって掃除がされてこなかったのだろう。私が何代目かは知らないが、私の次に入居する人は幸運だと思う。
このカビだらけの引き出しのような箱に洗剤と柔軟剤を入れて、温度等を設定してスタートボタンを押すと洗濯が始まる。この時に、60度以上で衣服を洗うと色落ちをして悲しい経験をすることになる。40度でも色落ちしそうな服は、洗うときに注意したほうがいい。
最高90度で洗濯できるが、今のところ洗濯機自体の定期的な掃除の時以外は使っていない。他にも、服の生地に合わせて洗濯モードを選択できる。
だいたい洗濯が終わるのに90分~150分はみたほうがいい。ちなみに、今借りている家の洗濯機は、最初の段階では151分で終わると表示されるが、なぜか85分で終わる。毎回すすぎを1回多めに設定するのだが、こちらの言うことを聞いてくれたためしがない。つまり、壊れている。
洗濯の仕上がりはというと、洗剤のにおいがぷんぷんするし、服を干した後には手がなんとなくべたつく。食洗機と一緒で、信用ならないやつであるが、さすがに服を全て手洗いするのは現実的ではないから、仕方なく洗剤の量などを調整しながら使っている。
そんなわけで、家具つきだからといって電化製品などに過度なクオリティを期待すると、現実との落差に落ち込むことになる。
イギリスの電化製品を目の当たりにすると、日本ってハイテクの国だったんだな、そう思わずにはいられない。お金を出せばそれ相応のものは買えるのだけど、賃貸な以上、勝手に変えることはできない。冷蔵庫は壁の一部として内装に溶け込んでいるし、食洗機もまたキッチンの下に埋め込まれている。
あ、不動産屋のスタッフが来たみたい。対応しにいってきます。
続きはまた、気が向いたときに。
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