第5話  初めて

(らいあサイド)


「らいあ!支度できたぞ!行こうか。」


ちょっと嬉しそうな翔と、教室を出て


学校を出て、学校の前のコンビニで公衆電話で翔が翔のお母さんに連絡をする。


ざわめく人たちで、翔を見失いそうになってしまいそうだ。


傘を並べて歩き、3分後に翔のお母さんがきた。


「あら、こんにちは。名前は?」

「こんにちは!らいあと言います。家まで・・・大丈夫なんですか?」

緊張しながらいうと、

「もー、そんなこと気にすんなよー。雨だし、この中で女子帰らせるのいちばんダメじゃん」


翔がほっぺを少し膨らませて言う。


「そうよ?この雨の中帰るって言ったら・・・ 怪我するわよ?さ、行きましょうか・・・お家はどこのあたり?」


「えっと・・・コンビニの裏に行って、そこから右に右折して、3分くらいまっすぐ行って、そしたら横に郵便局があるんで、そこから400M左折したら白い一軒家があるので、そこが私の家です・・・」


「あら!じゃあ翔と近いのね! 隣だわ・・・部活もクラスも翔と一緒でしょ? だったらこれから登下校一緒にしたらどう?」


「え、あ、いいんですか・・・?」


「そうしようか!その方が安心だな、お前、目が離せねえんだよ、危機感がなくて。」


ちょっとバカにしたように翔が言うと、


「じゃあ翔、お願いね。らいあちゃんのお母さんには言っとくわね。何回か一緒にお茶してるし」


「ありがとうございます・・・」


嬉しくて顔がにやける・・・


そんなことを話しているうちに、家に着いた。

「ありがとうございました!」


元気良くお礼を言うと


「いい子ね―!」


「あ、まだ雨降ってるから俺が玄関まで傘さすわ」


翔が傘を持っていき、外に出た。


「え、あ、ありがとう」


大丈夫かな、うまく言えてるかな。


「おう、大丈夫だ」


幼さが残る笑顔で翔が笑う。


その笑顔にドキッとした。


そのまま玄関まで送ってくれて、


「ありがと。じゃあ明日、何時にそっち行けばいい?」


「いーよ、俺がそっち行くよ。」


「そっか、じゃあまってる。また明日。ホントにありがとね。」


「大丈夫だって!あと、宿題ちゃんとやれよ?」


「言われなくてもやります!」


なんて他愛もない会話をして


ガチャッ


家のドアを開けて家に入ると、


自分の部屋に入り、ベットに倒れこんだ。


バックはもちろん床に置いて。


(お母さん、帰ってきたかな)



翔との今日の出来事を思い出してはにやけて・・・


幸せ者だな・・・


ズキッ


なんか、胸が苦しい。   息がうまくできない。


あんなこと、他の女子にもやってるのかな。


そう思ったとたん、胸が痛んだ


なんか複雑だな・・・・。

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