99%自由な彼女

@941209

自称彼女

「私の彼氏になんか用?」俺にこんな可愛い彼女はいない。バイト中の俺に絡む茶髪4人組の仲間かと思った。どうやら違うらしい4人は彼女の飛び抜けた美貌に黙りこくる。さっきまでの威勢が嘘のようだ。人間は本気で驚くと言葉が出ないらしい。「私の親、一応警察だから。必要なら呼ぶけど」三丁目の交番知ってる?美人は真顔で続ける。三丁目の交番にいる警察官の顔を思い出す。ギリシャ神話に出てくるようなほりの深い作りをしている 。190センチはあろう身長で、5、6人のやくざを一人で一気に張り倒したとか、数々の伝説がある。しかもなぜかゲイという噂。ゲイ察官だ。このあだ名は傑作だと自負している。「あのゲイ察、こんな娘がいたのかよ」茶髪の一人がポツリと呟く。これぞ本当のツイッター。俺の考えたあだ名は誰でも思い付く単純なものであることも証明された。「人の親をゲイ呼ばわりしないでくれる」ゲイ察官、いや、警察官の娘はズボンのポケットからスマホを取り出す。「わ、悪かったよ、姉ちゃん。お前も」茶髪の、どらかといえば金髪に近い男が慌てて手を振った。餡まん2つ、と金髪は俺に500円玉を丁寧に差し出した。「すまなかったな。釣りは要らねぇよ」と餡まんを美人と俺にそれぞれ押し付け、片手を振ると、茶髪たちはそそくさとコンビニをあとにした。「ありがとうございました」反射的に答えてしまった俺を、美人は呆れた顔で見やった。「なにお礼言ってるの」最もな指摘だ。散々レジの金を寄越せと脅されといて、餡まん1つで許すなんてお人好しにもほどがある。しかも、浮いた釣り銭はたったの200円た。「私、肉まんのほうがよかったんだけたど」そこかよ!

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