第二回戦 抽選会!の巻

「これより、第二回戦の組み合わせ抽選を行います!」


 レフェリー鮫島会長の元、武道場に集められた選手たち。

 一回戦で勝ち上がったのは五人。ここからは変則トーナメントで優勝を目指すことになる。

 俺は藻部野もぶのさえぶっ飛ばせればそれでよいのだが、一回戦を勝ち抜いたことで多少の欲は出てきている。優勝したらなんでも一つ願いが叶うのだから。


 一回戦を勝ち残ったメンバーは流石に眼光が鋭い、って程でもないが普通に戦ったら俺より強いだろう。。

 ロボ美少女のジュリアは一回戦で半壊しているものの、抽選には製作者の葉加瀬が出席している。


「ジュリアは大丈夫なんですか?」


 俺の質問に不機嫌な顔の葉加瀬は面倒くさそうに答える。

「敵に教えることは何もないが、応急処置はしている。何も問題はないよ」

 ……とのことだ。

 その葉加瀬の隣には江戸時代の力士に取り憑かれてるという不幸極まりない女生徒、高山まこが緊張した面持ちでモジモジしている。


「さっきは強かったですね」


 話しかけてみた。江戸時代の力士『極竜山きょくりゅうざん』が憑依していない状態の彼女は、この中で一番普通に見えたからだ。


「あ、超人的凡人の人ですね? もー、チョー恥ずかしいですよ!こんな大人数の前で相撲取ってるんですよ、あたし。はやく極竜山を成仏させて普通の生活に戻りたいよぉー」


 涙目で訴える姿は少し哀れだった。彼女もなりたくもないのに江戸時代の力士に取り憑かれ、この大会に半ば強引に参加させられたのだろう。御愁傷様。

 そして、憎き藻部野凡人だ。先ほどは魔族との戦いのせいでやたらカッコいい姿に変身して戦っていた。しかし、もう次からあんな変身はできないはずだ。こいつには話しかけん!

 そして、前の試合で殺し屋影野を倒した剣道少女草薙さくら。

「肩の傷はもう大丈夫なの?」

「天使の佐々木さんに治してもらったわ。すごいわね。うちの道場で雇いたいくらいだわ」

 確かに。

 それにしても。うーん、濃いメンバーだなぁ、と自分以外を見渡して思う。


「さぁ、この箱の中に番号が書かれたボールが入っています!一人ずつ引いてください!」


 トーナメント表を見ると、なるほど変則トーナメントだ。

 5つの枠があり、番号が振られている。1番対2番。3番対4番。5番は3番と4番の勝者と戦い、その勝者が1番と2番の勝者と決勝を行う。

 狙うは5番だ。自分以外の選手が一回戦った後に出番がくるので皆の動きも見れるし、さらに言うならば3番と4番の勝者は連戦になってしまうのでいくら天使の佐々木さんの治癒魔法で怪我は回復できても、メンタル面での疲労は取り除くことはできないだろう。


 一番に葉加瀬がくじをひく。3と書かれたボールを引いた。

 会場から拍手が鳴り響く。次は高山まこだ。5番だ。5番を引いた。

 ちくしょう!狙ってたのに。あっさり目論見は消え失せた。

 次は藻部野。こいつが4番を引いたら決勝まで進まないとこいつとは戦えないことになる。

 藻部野がボールを取り出す。1番。

 よし、望みが出てきた。俺が2番を引けば藻部野と戦える!

 2番、2番、と念仏のように唱えながら箱に手を入れる。

 さぁ、残った球のどちらが2番だ?

 こっちだ!

 最初に指に触れた方を勢いよく取り出す。


『4番です!高木選手は4番のボールを引きました!』

『3番と4番は一番過酷な組み合わせになりますからね、頑張ってほしいです』


 くそ!

 なんてことだ。これでは決勝まで残らなければ藻部野と戦えない。

 それに、最初の相手はジュリアだ。第一試合で暴走してセルフィーを血祭りにあげたあのジュリアだ。

 セルフィーは宇宙人でかなり頑丈な生物だったから良かったものの、ただの人間の俺がまともに戦って勝てる見込みはない。

 やはり棄権するか。


 ともかく、第一試合は藻部野とさくらということになるのか。

 藻部野が三枚に降ろされるところでも見学して、その後棄権するかどうか決めればいい。


 そんな、俺の算段はおかまいなしに超人格闘大会の二回戦は始まるのだった!

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