第13話 スーパー派遣社員K江

新入社員が来て1週間ほど経った頃、新しい派遣社員も来た。

年齢は30代前半。背は大きくないがガッシリしている。

眼鏡をかけていて真面目そうな感じの人だ。名前はK江さんと言う。


この方、何も教えなくても何でも出来ちゃうスペシャルな人。

整備経験は15年弱。主に大型車両の整備をしていたそうだ。

一応俺が新人派遣の教育係に任命されたわけだが、その必要は全く無い。

というか、なぜ派遣を派遣が教えなければならないのか。

一般的には社員が教育するべきなのでは?と思う。

しかし常識の通じない会社なので、まぁ想定の範囲内といったところ。


さて、K江さんの腕前を見てみよう。

エンジン降しをやってもらう。俺はそばで黙って見る。

実力は噂に違わず、無駄のない動きでテキパキと作業している。

質問など一切無しで降ろしてしまった。

ジャスト4時間。おみそれいたしました。

いやー出来る人っていいなぁ。教えなくてもいいんだもの。

教育係って事だけど、むしろ教わりたいくらいだ。

手際が良過ぎる。


 俺「いやー凄いですね!いきなりやてっれ言われて出来るもんでもないのに」

 K江さん「まぁ、こういうの慣れてますからー」

 俺「ほうほう。頼もしいですなぁ」

 K江「いやいや、色々教えて下さい」


えーと。教えること何も無いのですけど。アドバイス無しで出来ちゃってんだもの。

ただ、これだけ出来るとなるとこの非常識な会社においては嫌な予感しかしない。

おそらくは無理な仕事を押し付けられて毎日長時間拘束されるだろう。

仕事が出来るってもの考え物だ。

「俺何もわかんねー」と言って簡単な仕事して定時に帰るのが賢いのかも知れない。

社員ではないのだから責任のある仕事を与えるべきではないとは思う。


さて、K江さんが来たと同時にBチーム復活。

派遣だけだと色々と制約があるので社員のI部さんと言う人がリーダーになる。

しばらくはこの3人で仕事をこなしていく事になった。



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