第5話 残業ありきの考え方はいかがなものか

働き始めて1週間経過。その辺の人に工具を借りながら一人での作業。

与えてくれないなら自分で持ってこようかな。

だがここは自前の工具は持ち込み禁止だと言う。

仕事をしなさい。でもあなたの工具は無いです。自分のを持ってきたらダメです。

まるで話にならん。


しょっちゅう工具借りるのは気まずいし、借りられた方も困る。

これが社員ならまだいいのだが、派遣の立場上あまりよろしくない。

仕方ないので自分の余ってる工具を少しづつ持って来る事にした。

さすがに必要なの全部持って来るわけにもいかないので

あとは会社の中を探索して工具を調達する。


10日ほど経った頃にこう言われた。


 H田GL「そろそろ慣れたよね?じゃー2台やってもらおうかな」

 俺「はい、いいですよ」


今日中に2台やるとなると確実に残業になる。1台5時間計算。

しかし、今日中にやるのかどうかはハッキリ言ってこなかった。

おそらく残業してでもやれってことなんだろう。おかしい話である。

確かにここ10日間だけ見ても定時で帰ろうとする人はいなかった。

就業終わりのチャイムがなっても誰一人として終わろうとしない。

むしろ定時から頑張りだしている。みんな何時までやってるんだろう?

やっても1、2時間だろうと思い今までは敢えて聞きはしなかった。

が、もしや?と思い試しに聞いてみた。

 

 俺「みんないつも定時になっても帰らないけど何時までやってる?」

 N江君「ここ1週間は23時半ころまでですよ」

 俺「まじで?」


彼は平然とこう答えたが、どこか顔は暗かった。

これはとんでもない会社に来てしまったような気がする。

残業して当たり前。仕事なんだから仕方が無いという考え方はまともじゃない。

極論を言えば仕事なんだから死んでも仕方ないという事になる。

みんな体調は大丈夫なのだろうか。

あーなるほど。明らかに定時内で終わらない仕事量押し付けて

終わらなかったら残業してでもやっていけという方針か。

それにしても毎日5時間以上の残業は非常識だ。

よくみんな辞めないよな。俺ならすぐ辞めてるわ。

自分の時間が持てないとか生きててつまらん。仕事だけが大事なわけでもない。


入ったばかりだし、2時間ほど残業して終わらせて帰る。

他の人たちはまだまだやっていた。

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