第2話来なかった間宮くん
「ここは公式により......」
僕は昨日言った通り予備校に来ている。
今頃、佑樹たちは学校に残っているんだろう。
僕だって気にならないと言えば嘘になるが、予備校は休めない。
授業終了まであと、30分。
長いような短いような微妙な時間だ。
「......これで授業は終わりとします」
さぁ、帰ろう。
いつものように予備校を出て、いつものように駅へ向かう。
友人と世間話でもしながら、駅で別れる。
いたっていつも通りだ。
通り慣れた改札をくぐる。
何ら変わりのない毎日。
少し退屈ではあるが、そこそこ充実しているとは思う。
『間もなく、3番線を電車が通過します。 ご注意ください』
無機質なアナウンスが流れる。
ついてないな。
5分は待たなくては......ん?
何かが僕にぶつかり、体が傾く。
すぐそばに、電車が来ている。
転がればいいのだろうけど、間に合わない。
次の瞬間、僕の下半身はどこかへ行った。
薄れゆく意識の中、白く、ふわりと浮かぶ、不敵な少女の姿があった。
本当に生が途切れる瞬間、働いていないはずの頭に声が流れてくる。
”来テ、ッテ言ッタデショ? 退屈、ナンデショウ? アハハ......”
僕は、行くべき、だったのかな。
後悔先に立たず、まさに......その通りだな......。
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