話を聞いて

第1話白い靄

 夜。


しんと静まり返った学校。


教員も皆各々の家へと帰っていった。


本来なら誰もいるはずはない時間帯が、今日は違った。


一つの教室に集まる数人の生徒。


「佑樹、見えるか? 」


「何も見えねぇ......ん? 」


「どうした? 」


「いや、白っぽい何か見えたんだよ」


佑樹、と呼ばれた生徒はほら、と他の生徒に中を見るよう促す。


興味津々で中を覗いた彼ら。


そしてヒソヒソと話し出す。


「本当だ、少し光ってる、のか? 」


「気味悪いな」


「これ、だいぶヤバいやつなんじゃない? 」


しかもその靄はゆらゆらと揺れている。


明らかにこの世のものではない何かを感じさせている。


彼らがここへ来てから半刻ほど過ぎた。


終電もなくなるしそろそろ帰ろうか、ということになった。


「明日も来るか? 」


皆”来る”と返事をした。


一人を除いて。


「何だよ、間宮。ノリ悪いなぁ」


「悪い、明日予備校でさ」


「まぁ、それなら仕方ないか」


「じゃぁ、みんな、気をつけて帰れよ」


そっと学校から出た彼らは、バラバラに歩いて行った。


”明日モ......来テネ......”


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