第十二章
鐘
深い闇が覆うある一室。何も視認できないその場所で、ただ聞こえていたのはカタカタとせせら笑う歯車の音、そして――、
「うっうっ……あああ! ああああああっ!!」
喉を張り裂かすように喚く龍麻の声だった。
伏せる体に叫声を合わせ、まるで這い出す様に揺らし続けるその上には篠宮の姿があった。
ロープで結んだ龍麻の両手に自身の体を合わせ、額からあふれ覆う汗をそのままに抑えつけている。
まるで体に染みついた毒を吐き出すように、篠宮が何度も深い呼吸を繰り返す。
下から聞こえる叫声に、一度目を瞑った後、顔を上げた。
映る暗闇から、新たに得られる情報など何もない。
再び目を瞑り、目尻と眉間に深く皺を作った後、顔を落とした。
震える拳を持ち上げ、それを床に向かい叩きつけた。
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