思い切り


 自分の根性なしっぷりに落ち込む。

 妄想の中では、幸せです。と微笑む彼女を思い浮かべられるのに。力強く「絶対に落としてみせる」と拳を握る友人の横で「ガンバレ」と応援してる自分が現実だ。

「あー、おまえいっつもテキトーに応援しやがって。今回こそ本気の運命なんだよ! わっかんねーかな」

 おまえには何人運命がいるんだよと無駄な発言をしたくなる。

「え。イイと思えた相手に出会えたらそれは運命だろ?」

 そう言って「それなら仲良くなりてーじゃん」と笑う友人の気質が羨ましくも妬ましい。

「俺も彼女、気になってる……なんて言ったらどうする気なんだよ」

 ああ、なんで俺は誤魔化しているんだろう?

 ぱちりと動きをとめて目を瞬かせた友人がにんまり笑う。

 不安にさせないでくれと言いたくなる不穏な笑顔だ。

「じゃあ。じゃあさ、一緒に告ろーぜ!」

 力強く肩を叩かれて友人が携帯端末を操作する。

 は?

 携帯端末を?




 お題【絶対に落としてみせる/不安にさせないで/妄想の中では、幸せです。】


 #shindanmaker

 https://shindanmaker.com/287899

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る