第14話 クリスチャンの屋根の下

その一家は、クリスチャンだった。

ご両親はその辺の地域を統括する責任者のようなものを買って出ており、娘さんも幼いころから毎週日曜日は集会に行くのが当たり前、毎朝祈るのも当たり前、他にも何がしかの習慣があったのだと思うが、そういった一通りが当たり前の家庭で育った。


先輩は、家族の中で先輩だけがクリスチャンになった。

詳しくは知らないが、先輩の実家も何だかややこしく、そこから神への信仰に目覚めたとのこと。


そんな先輩が、大学生時代、同年齢の娘さんとルームシェアをしていたことがある。

家の中は聖書とそれに関する書物にあふれ、招かれた私は正直若干引いた。


2人とも熱心な信者だった。

娘さんは幼いころから触れていただけあって知識が豊かで、先輩は知識よりも実践で信仰を現していた。


ただ、2人が共通しているのは、クリスチャンであること、同い年であること、同性であること、だけだった。

もともとそのルームシェアも、クリスチャンのネットワークを通じて始まったものだったそうなので、性格も好みもそれまでの習慣もまるで違う2人が同じ家で暮らすのは、ストレスも溜まったことだろう。


2人の相性が良かったのか悪かったのか、それは判らない。

お互いの大学卒業とともにルームシェアは解消され、今はそれぞれが家庭を持って、クリスチャンの男性と結婚した先輩の信仰は揺るがず、クリスチャンじゃない男性と結婚した娘さんは信仰から遠のいたと聞いた。


詳しいことは知らないが、先輩の家はドタバタしつつも何だかんだと円満らしい。

娘さんのほうは知らない。


信仰が家庭を守るなら、またそれも良いのだろう。

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