第8話 借金のある屋根の下

義両親、旦那と息子と彼女。

そんな家族構成の屋根の下には、お金の問題があった。

義両親も旦那と彼女も、借金を抱えていた。

それも、それぞれ返しようのない額の。


息子は生まれたてで、首も座っていなかった。

そんな状態で、よく子供を持つ気になったな、と思ったら、悩んでいるうちに堕ろせなくなったのだとか。

バカか。


他人様の家庭に、口を出すのは本意ではなかった。

それでも、借金について相談に乗ってくれないかと言われたから、仕方なく首を突っ込んだのだ。


売れば多少の金額になるものがあった。

乗ってないバイク2台と、車。

それを手放して、かつ自己破産するよう勧めた。

それが1番合理的だったからだ。


結果、私と彼らは絶縁状態となった。


「もっと親身になってくれると思ったのに」


とは彼女の談。

年収を超える借金など、どう親身になっても自己破産しかなかろうに。

どうやら、相談ではなくて愚痴を聞いてもらいたかったらしい。

それならそうと最初に言ってくれたら、やんわりと角が立たないようにお断りをしたものを。

後から知ったことだが、何が悲しくて、当時の彼の浮気相手の愚痴なんかを聞いてやらなきゃならなかったのか。

意味が判らない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る