第7話 バカな男の屋根の下

「家には何の問題もないよ?」


彼は言った。

私は耳を疑った。


何の問題もない家庭と言うものが、本当に存在するのだろうか。

だとしたら、それは相当歪んでいるか、問題に気付かない彼がよほど鈍感なのか、どちらかだ。


何かしら抱えている家庭しか知らなかった私には、想像しがたい家と、その構成人物たちだった。


必要があって、彼を1つ目の屋根の住人に紹介した。


「うちはお宅と違って何も問題ありませんから大丈夫です、安心してください。」


彼は自信満々にのたまった。

あぁなるほど、後者だったか。

紹介しておいてなんだが、納得してしまった。

そしてその後、いろいろあって別れた。

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