第6話 清水さん(仮名)の屋根の下
仕事で、用事があって、電話をかけた。
「清水さん(仮名)のお宅ですか?」
電話口に出たのは、子供だった。
いはく。
「違うよ、昨日まで清水(仮名)だったけど」
そっかー。違うのかー。違っちゃったのかー。
何と答えたらいいのか正解は判らなかったけど、用事があるのはおそらく彼のお父さんに当たる人物なので、お父さんが居るか一応聞いてみた。
「もう居ないよ」
そっかー。居ないのかー。もう。
清水さん(仮名)の選択が、電話口の子供に、どう影響したかはわからない。
でも、もう何年も昔の話だ。
電話に出てくれた彼がどうしているのか知る由もないが、願えるのなら、幸せであってほしい。
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