4-4.治安維持部隊の最期

 豪雨の降り続くカレヴァンの上空を、影のように黒い鳥が飛んでいる。

 その眼が見ているのは、空の森に面した北門の近く、多くの冒険者が利用する最も栄えた地区だ。


 だが今、そこを騒がせているのは冒険を前にした戦士達の活気ではない。

 ある区画で地盤沈下が起こり、建物や道路が陥没に巻き込まれていた。発生から時間を置いた現在でもまだ、思い出したように崩れる瓦礫が地面を揺らしている。

 損害を受けたのが倉庫など人気のない場所で、人的被害が皆無なのは、しかし奇跡ではない。

 その周囲は事前に人払いをされていた。偶然の事故ではなかったのだ。


「随分と大胆なことするのね。ま、無駄だろうけど」


 惨状を見下ろして飛翔する鳥は、嘴の隙間から人の言葉を零すと、その事件への興味を失くして進路を変えていった。

 《軍勢レギオン》の異名を取る開拓者シャルロッテの使い魔の、遥か眼下。

 そこでは似通った装備をした者達が、慌しく活動を続けていた。


「報告します、隊長。爆破による被害は想定内、作戦は予定通り進行しています」

「それはなによりだ。街を守る使命を背負った僕達が、いたずらに破壊をばらいては本末転倒だからね」


 治安維持部隊隊長ジャスティンは柔和に微笑んで答える。

 一見優しげな男だが、その瞳に非情なほどの鋭さが潜んでいることを知らない者はいない。伝令もまた、自身を濡らす雨水の中に冷や汗が混ざったことを痛いほど意識していた。


「それで、対象は?」

「まだ見つけられていません。ですが……探すまでもないのでは?」


 背後を振り返り、その光景を苦々しく思いながら、彼は言う。

 開拓者スバル。すべてを滅ぼすという《切り拓く剣》の装飾を持つ男だ。真偽は定かでないが、その武力で一国が滅亡するきっかけを作ったとさえ囁かれている。

 彼は衰弱死寸前まで追い込まれながら、英雄バートランド・ギルと互角の戦いを演じた怪物だ。街を守護する組織として、是が非でも彼を仕留めたいと考えるのは当然だった。

 だが、まさか街の一角ごと押し潰すという手段を取るなどと、誰が想像しえたか。瓦礫の下にいるだろうスバル自身も驚愕のうちに圧死したはずだった。すさまじく腕が立つという話だが、所詮は人間に過ぎないのだ。


 ぽん、とジャスティンは部下の肩を叩き、氷の微笑を浮かべながら、どこか人間離れした無機質さで言い含めた。


「死体を見つけるまでは安心できない。絶対に仕損じるわけにはいかないんだ。わかるね?」

「承知しました。そのように伝達します」


 震える声を残し、部下は逃げ出すようにその場を後にした。

 足をもつれさせながら足早に去る背を、ジャスティンは侮蔑の視線で見送る。そして、おもむろに振り返った。

 そこには今まで存在しなかったはずの、フード付きの外套がいとうで全身を覆った人影がいる。わずかに垣間見える彼の顔には植物の蔓を思わせる文様が這い、血のように赤い眼がうつろに輝いていた。


「ご協力に感謝します、魔族殿。後始末は我々にお任せを」


 それはジャスティンの慇懃いんぎんな言葉に頷くことで答え、霧や霞が晴れるように消えていった。

 まるで夢遊病者だ、とジャスティンは声に出さず吐き捨てる。

 その印象は本質を捉えていた。魔族は地下の魔領域を秘匿することを条件にバートランド・ギルと組んでいる。その後は《エコー》と呼ばれる傀儡くぐつを通して助力を続けているが、本体は再び眠りについているのだという。

 まどろむ魔族のエコーは自我が薄いものの、簡単な指示に従うだけの能力はある。そしてその力は異能を持つ人類をも凌駕していた。


 スバルを地下に誘き寄せ、刺客を差し向ける。仕損じた場合に限り、設置した爆薬を用いて生き埋めにする。それが治安維持部隊の作戦だ。

 エコーは姿を隠して標的を監視する任を担っていた。彼の報告で《断鬼ウォード》が敗北したことが発覚し、同時に第二段階へ移行する決断が下されたのだ。


「ここまでは予定通り。だが効果が出たかどうかは不明、か」


 独り言の内容と裏腹に、ジャスティンは口の端を吊り上げる。

 一度だけ相見あいまみえた黒き剣士。あのときはライアン・レッドフォードに遅れを取っていたが、その後の戦闘で彼を打ち倒したことがわかっている。あるいは、この罠をも切り抜けるだろう。

 あの男だけは生かしておくわけにはいかない、たとえどれほどの犠牲を払ってでも――――。ギルから与えられた指令が、それだ。英雄すら戦慄させるほどの強者が、この程度で命を落とすとは考えてはいなかった。


 だが、どれほど強くとも、関係はない。

 空間転移の異能。それがあれば人間など斬られるときを待つ藁束わらたばに等しいのだ。


「呆気なく死んでくれるなよ。僕を楽しませてくれ……」


 未だ降る豪雨の中に、不敵な呟きが静かに漂う。



 ◇ ◆ ◇ 



「まったく、きりがないな」

「隊長は本当に見つかるまで探させるつもりなのか。正気の沙汰じゃないぞ」


 擂鉢すりばち状に深く陥没した穴の底で、大勢の治安維持部隊や傭兵達が捜索を続けている。穴の淵にはクロスボウを備えた兵士も待機しており、開拓者が現れれば即座に射殺する手筈てはずになっていた。もっとも、誰も戦闘になるなどとは考えてはいない。報酬が出るとはいえ嬉々として参加してる者などおらず、皆愚痴を零しながら申し訳程度に瓦礫を引っくり返すなどしていた。

 崩壊の後からただ一人の男の死体を探すなど、砂漠で針を捜すようなものだ。やる気が湧くはずもなく、それになにより、この光景そのものが彼らの意気を削いでいる。


「いくら危険人物が相手とはいえ、ここまでするか? 俺は街を壊すために治安維持部隊に入ったわけじゃない」


 吐き捨てる言葉には忸怩じくじたる思いが滲んでいる。

 彼らには強い志があった。冒険者を育成する街の守護は、ひいては冒険者を必要とする現代の人類に貢献することだ。

 魔領域から得られる資源に有用性が見出されてから日が浅いが、もはやそれは人々の日常から欠かせないものになりつつある。怪物との戦闘に長けた者を育てるのは急務であり、カレヴァンはその最前線にいるのだ。治安維持部隊の高いモチベーションは、その自負に裏打ちされている。


 だからこそ、一連の作戦は治安維持部隊構成員に深い影を落とした。

 すべてを滅ぼすという疫病神、開拓者。彼らに警戒するのは当然のことだが、即座に抹殺を試みるのはあまりに異常だ。少なくともスバルは無差別に殺戮を繰り返していたわけではない。昼夜を問わない追跡を受けていた最中でも住民の居住区に侵入して略奪に走ったという情報はなかった。

 その挙句に、街を巻き込む計画だ。

 《斬り裂く刃ツェアライセン》のリーダーにして冒険者ギルドの長、バートランド・ギル直々じきじきに下された決定は、しかし街の平穏を守るよりも開拓者を殺すことを優先したものだった。

 まるで、他になにか目的があるかのような変貌だ。カレヴァンの防衛をなによりも優先すべきだと信じていた彼らは現在も酷く動揺している。

 一度たりとも揺らいだことのない英雄への信頼に陰りを感じたことで、治安維持部隊の士気は目に見えて低下していた。


「生真面目だな、お前は」


 仲間のぼやきを笑い、隊員の男は手近な瓦礫を蹴りつける。ごろりと転がったがらくたの下には、やはりなにもない。


「もっと気楽にやれよ。俺は給料さえ出るならなんでも……」


 そのとき、一際大きな音と共に地響きが彼らを突き上げる。

 それを自然な倒壊だと思わなかったのは、戦闘経験で培われた鋭い勘によるものだ。頭を巡らせた彼らは、今もまた押し退けられていく建造物の残骸から、なにかが這い出そうとしているところを目撃した。


 訓練された隊員達の決断は、早い。

 一人が警笛を高らかに鳴らし、もう一人が飛び出した。

 甲高い笛の音色を聞きながら、走る男は剣を抜く。この区画は入念に人払いを済ませているはずだった。そこにいるのはほぼ間違いなく敵だと通達されており、そこに躊躇はない。


 隊員が辿り着く直前、遂にそれは姿を現した。

 黒髪黒瞳。黒い血に半面を濡らした若い男だ。

 その眼に射竦いすくめられ、彼は思わず足を止めていた。背筋を貫くのは恐怖と悪寒だ。反射的な行動だが、結果としてそれは正解だった。男は既に武器を取り、戦闘体勢を整えている。先制攻撃で仕留めるのが不可能ならば、仲間と連携して当たるのが最善だ。


 スバルは黒の混じった唾を吐き、ゆっくりと周囲を睥睨へいげいした。

 目の前にいる治安維持部隊。大勢の敵が集まってくる気配から、自らの置かれている状況を把握する。

 崩落に巻き込まれ、全身が痛めつけられていた。右腕は無事だが左はし折れている。足も似たようなものだ。腹部の鈍痛は、内臓に多少の損傷がある証拠だった。常人ならば即座に病院送りされている。

 しかし、スバルは歯を剥いて剣を構えた。激痛による怯懦きょうだなど欠片も存在しない。


「どうした、かかってこいよ。俺の命が狙いなんだろ?」


 一言一言が渾身の拳のように隊員を殴打する。湧き上がる感情は、畏怖だった。同じ人間の姿をしているというのに、決定的に違うなにかを感じずにはいられない。

 生き埋めから地力で脱出して、なお戦闘を続けようとする闘志。そもそも彼はほんの先日まで十日間以上に渡る追跡で心身ともに疲弊していたはずだ。たった一晩見失っただけで全快した上、この罠にめるまでの間に数え切れないほどの仲間達を惨殺している。

 人型をした怪物といわれても疑わないだろう。むしろ、そうであった方が納得できた。

 勝てない。

 たった一つの事実が隊員を打ちのめした。警笛を鳴らした男も追いついて身構えているが、突きつけた剣先は小刻みに震えている。


 それでも、負けるわけにはいかない。

 若き隊員の足を、その強い意思が踏み込ませた。


「勇敢だな」

「だ、黙れ」


 感心するような声を気丈に跳ね除け、彼はじりじりと間合いを詰めていく。一瞬が経過するたびにスバルの怪我は治癒していた。捻じ曲がっていたはずの腕は正常な形を取り戻し、感触を確かめるために指を開閉している。これ以上の時間を与えては危険だった。


「たとえ勝てないとしても、お前は逃がさない。戦って死ぬ覚悟はできて……ぐっ!?」


 悲壮な口上は不自然なところで途絶えた。

 突然、彼を腹部を激痛が襲ったのだ。あまりの痛みに崩れ落ちる様を、スバルもまた驚愕の面持ちで見つめる。

 苦鳴と共に零した吐瀉物としゃぶつには大量の血液が混じり、手放した剣が鈍い音を立てて転がった。


「おい、大丈夫か!?」


 仲間が思わず駆け寄るが、その足も中途半端なところで停止した。

 苦しむ男の背中から出現した植物の蔓が、彼の心臓を破壊したのだ。

 蔓は引き抜かれる直前、犠牲者の体内に種子を残す。それは即座に萌芽を迎え、人体を支配した。


 使命と義憤に燃える隊員は、既に死んだ。

 そこにいるのは目を赤く光らせ、意思を持つ蔓をいくつも生やした化物、魔族の眷属けんぞくだ。食事などを通して彼らの体内に運ばれた種が今、魔族の敵を前にして芽吹いたのだ。


「人間は……種を運ぶだけの道具ってことか。くそったれ」


 スバルは憎々しげに言うと、痛む身体を叱咤しったして歩き出した。

 その瞬間、魔族の力に蝕まれた二人が爆発的な勢いで突っ込んでくる。

 宿主となった者のことなど欠片も考慮しない、玉砕のための突撃だ。地を蹴るたびに、どこかの骨にひびが入り、どこかの筋が断裂している。

 およそ人間では成しえない速度と奇怪な動きで肉薄する相手に、スバルは暢気のんきともいえる緩慢さで剣を構えた。


 そして二度、黒き雷がほとばしる。

 一撃は先行した眷属を斬り砕き、地面に叩きつけた。

 間髪入れず垂直に駆け登る剣閃が、二体目を股下から両断する。突進の勢いのまま切り上げられた死体が喜劇のように宙を舞った。


 スバルは手に残る感触に感嘆する。

 そこに握られているのは、ウォードの亡骸から入手した黒金の剣だ。

 重い。だが鈍重ではなく、比類なき鋭利さも宿っている。天にかざしてみれば、刀身に刻まれた古代文字に雨が伝い、淡く輝いた。

 強力で美しい。しかし同時に癖も強く、持ち主を選ぶ。あるいはウォードは、リゲルに剣を作ったことがあったのかもしれなかった。それほどに断鬼の鍛えた剣は、《剣聖ソードマスター》と同じ剣筋のスバルに馴染んだのだ。


「開拓者だ! 生きてるぞ!」


 思いにふけっているところを、鋭い声が現実に引き戻した。

 警笛を聞いた者達が集まってきたのだ。スバルの死体が発見されたと考えていたのか、得物も納めたまま油断した様子だったが、たたずむその姿を見て色めき立っている。この陥没した空間を見下ろす淵には飛び道具を装備した者が次々と集合し、そのやじりをスバルに向けていた。


「なんだ、この死体は? 魔物か?」


 驚愕の大きさと同じほど、彼らは眷属に動揺していた。今までスバルが殺した眷属は皆、溶けるように魔族の痕跡を失っている。だがここで初めて、それが完全に消え去る前に目撃されてしまった。


「いや……隊長! こいつ、俺の同期です! どうして、こんなことに……」


 そう言って、ある隊員が呼びかけた。

 集まった彼らの後方から、一つの人影が悠然と歩いてくる。腰の両側に差した双剣は《斬り裂く刃》の象徴であり、治安維持部隊の幹部の証だ。

 ジャスティンは冷徹な瞳で、眷属の死体には一顧だにせず、ただまっすぐにスバルを見据みすえた。


「なにをしている! 敵を包囲せよ!」


 心臓を鷲掴みにされるような鋭い怒声を浴び、隊員達の身体を震わせる。彼らは異形の怪物から無理矢理視線を引き剥がして、スバルを中心に陣形を作り始めた。それを穴の淵から見下ろす後衛部隊も、油断なく引き金に指をかける。


「随分と悠長にしているね。その気なら、すぐにでも脱出できただろう?」

「急ぐ必要もないからな。その気なら、すぐにでもお前らを皆殺しにできる」


 二つの殺意が渦を巻き、雨にけぶる街を震撼させる。

 治安維持部隊は、追っている男が乱戦において異常なほどの強さを発揮することを多くの犠牲から学んでいた。最も効果的に彼と戦うには多勢で退路を塞ぎ、一握りの強者をぶつけるしかなかった。

 ジャスティン――治安維持部隊を束ねる長が、こうして最前線に立っているのも、作戦の一環のはずだった。だがその顔に浮かぶ喜悦は、もはや自らに課せられた使命など知ったことではないと言わんばかりだ。


「相変わらず、不遜ふそんな男だ。その生意気な面を斬り裂いてやりたくて、僕はうずうずしていたよ」


 スバルは、そうか、と淡白に答える。

 なんとも煮え切らない態度にジャスティンが疑問を覚えていると、やがてスバルは観念したように言った。


「悪い、お前、どこかで会ったか?」

「……安い挑発だ。そんなものに、この僕が乗るとでも?」

「いや、本当に……まぁ、いい。どうでもな」


 無論、スバルの頭の中では既に、ジャスティンと《寝惚けた黒獅子亭》で対峙した記憶など失われている。

 その言葉を侮辱と取ったか、優男の皮が剥がれ、冷酷な剣士の一面が覗いた。ジャスティンは氷雨よりも冷たい瞳でスバルを睨みつけ、腰にいた剣を抜く。


「そう、どうでもいいことだ。数秒後には、君の運命は……」


 まさに異能を発動しようとしたジャスティンは、しかし言葉を切って硬直していた。スバルもまた、身構えたままで別のところへ注意を向けている。

 なにか巨大な威圧感が、急速に接近している。

 それは凡百ぼんぴゃくの戦士ですら感じられるものなのか、包囲を形成していた治安維持部隊の面々も一様に同じ方向を仰いでいた。

 そう、上空だ。

 豪雨を招く曇天の鈍色にびいろから、白銀の尾を引く黒点が落下してくる光景を、彼らは目撃する。


 砲弾が降ってきたかのような地響き。

 あまりの強い振動に、後衛部隊の数人が体勢を崩して穴の中へ転がり落ちてきた。

 新手の攻撃かと警戒する人々の前に、それはひょっこりと姿を現す。後衛の待機する場所から少し遠く、穴の淵から白い色彩が顔を出したのだ。


「スバル!」


 耳をつくのは少女の声だった。

 小柄な体躯に、不釣合いなほど大きな黒い剣。

 スバルはジャスティンの存在すら忘れ、愕然として叫んだ。


「アリア!? 馬鹿野郎、どうしてここにいる!」


 彼女はテオとシャルに預け、この街から逃がしたはずだった。しかし今、彼女は黒い剣クローディアスの人格ではなく、アリア自身の心でそこにいる。

 カレヴァンを脱出する直前にバートランド・ギルの率いる別働隊に襲撃され、それをきっかけに自我を取り戻したアリアは、街の一角を破壊する大規模な罠を目印にここまで駆けてきたのだ。

 ただ一つの、伝えるべき事実を携えて。


「気をつけて、スバル! その男は……!」

「もう手遅れだよ」


 だがアリアは、ほんの少しだけ遅かった。

 ジャスティンの姿はわずかな空間の揺らめきだけを残し、スバルの眼前から消失している。

 彼は既に、スバルの背後で剣を振り被っていた。


「さ」


 さらば、とジャスティンは言いたかった。

 しかし声帯を震わせるはずの空気は、湿った音を立てて虚空へ流れ出ていく。


「あれ?」


 ゆっくりと落ちていくジャスティンの首は、口だけでそう呟いた。光を失っていく眼が見たのは振り抜かれている剣の煌めきだ。

 隊員達は絶句し、アリアは目を瞬かせて安堵とも困惑とも取れない吐息をつく。そしてスバルは、自らを濡らす返り血の色に驚愕していた。


「なんだ、そういう異能の奴だったのか? だが、この血は……」


 魔族の力を受けた者の証である黒い血を噴出しながら、頭部のないジャスティンの身体がくずおれていく。

 皆、混乱の極みにあった。

 ただ一つ理解できていたのは、治安維持部隊隊長にして現在のカレヴァンで最強を誇った男が、敵の手にかかってあっさりと命を落としたという事実だけだった。

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