3-3.二つ名のない騎士


――起きて!


 それは怒号のようにアリアを打った。

 寝床から跳ね起きる。思考は鈍く、自らの置かれている状況をすぐには理解できない。

 薄暗い室内と心臓の早鐘、スコールが屋根を穿うが雨樋あまどいを伝い落ちる音。それが彼女の把握できたすべてだ。


 茫然としている最中、足元からの轟音に体が震えた。

 銃声だ。

 そこに至ってようやく、階下で動く多数の物音――――闘争の気配に気づく。

 意識が覚醒する頃には、誰かが階段を飛ぶように駆け上がっていた。その人物はアリアに身構える間を与えることもなく、部屋の扉を激しく押し開く。


 象牙色の髪を振り乱した、奇怪な服装の女。紫煙の漂う長細い銃は、手品のように懐へ姿を消す。

 探索者ノーラは、安堵を浮かべて言った。


「アリアさん! 目が覚めたんですね」

「アリア……?」


 思わず零れた呟きに、ノーラは表情を曇らせる。


「混乱も仕方がありませんが、とにかく脱出しましょう。あと五秒で、この家は爆破されます!」

「爆破!?」


 彼女は話しながら、隅に転がしていた棍棒を拾い上げた。

 それを投げつければ、窓が砕け、雨が屋内へ吹き込んでくる。


「説明は後で! さぁ!」


 言うが早いか、ノーラは濡れるのもいとわず窓枠に足をかけた。

 屋根を伝い、あっという間に隣家へ飛び移る。それほど運動は得意ではないのか、侵入する際に足を引っかけて悲鳴と共に姿を消した。

 それにならってアリアが外へ出た瞬間、強い振動が足元を揺るがせる。悪態を吐きながら、滑り落ちないよう踏み締めた。

 そして隣の足場へ飛んだ、まさにその直後、数秒前まで寝ていた家が冗談のように崩れ始める。

 崩落の響きに混じって怒声が聞こえていた。一人や二人ではない人数が巻き込まれたのだとわかる。内側に吸い込まれるような崩壊は、そういう細工をされたために違いなかった。


「あ! 魔剣、持ってくるの忘れました!」


 無事脱出できたことに胸を撫で下ろしていたノーラは、頭を抱えて叫んだ。

 抜け目ないのか、抜けているのか、よくわからない相手だ。

 アリアは困惑しながらも手を掲げ、意識を集中する。

 すると、そこに黒いもやわだかまった。驚愕するノーラの前でそれが明確な形を作り、一瞬にも満たない間に彼女は魔剣を握っている。


「問題ない」

「……さすが、魔剣とその主ですね」


 なんとか言葉を絞り出し、ノーラは気を取り直す。

 階段を駆け下りる最中、扉が激しく破られる音が響いた。

 外へ逃げられることは正体不明の刺客も想定していたのだろう。今度こそ二人の女を仕留めようと、踏み入れてきたのだ。

 ここで迎え撃つか――――覚悟を決めるアリアを尻目に、ノーラが突然、壁を蹴りつける。

 すると喜劇のように壁の一部が倒れ、その向こうに細い路地を露わにしていた。

 この家は逃走経路として確保されていたのだ。

 一向に追いつかない刺客達も、罠の数々に足留めを喰らっているのかもしれない。


「この先の廃倉庫まで逃げます。急いで」


 全身を押し潰そうとする雨の中へ飛び出した瞬間、アリアの背に悪寒が走る。殺意という名の、鋭く重い刃だ。

 薄暗い風景に溶け込むように男が潜んでいた。目立たない服装だが、濁った目は彼がまともな人間でないことを明らかにしている。

 その手に握られた短剣が、まさにノーラに振り下ろされようとしていた。


「危ない!」


 警句を発するのが精一杯だ。そして彼女も、頭部を庇うことしかできない。

 鋼の打ち合う金属音。

 思いもよらない手応えに、刺客すらも硬直した。刃は確かに彼女の腕を捉えたが、厚いローブの中のなにかに侵入を阻まれたのだ。

 相手が動揺した一瞬に、ノーラは短剣を弾いた。雨を吸った服が払われ、直角の柄がついたこんが現れる。

 隠し持っていた暗器が、刺客のこめかみを強打した。殺傷するほどの威力ではないが刺客は意識を失い、水溜りに沈む。


「ありがとうございます。助かりました」


 言葉と裏腹に焦りはない。こう見えて死線を抜けてきたのかもしれなかった。


 刺客は標的が外へ逃げたときを想定して見張りを立てていたようだが、その数は多くない。ノーラに先導されて彼らを撒き、古びた建物の中に転がり込む。

 随分前に打ち捨てられた場所なのか、天井のところどころに雨漏りがあった。えた臭いは放置された荷が原因か。

 暗闇の片隅に身を隠す。ノーラが壁に手をやってなにかを調べていた。そこも壊しやすく細工がしてあるのだと想像がつく。


 アリアは荒い息を整えながら、軽く頭を振った。水を吸った髪が濡れた服に張り付き、ひどく不快だった。


「アリアさん、これを」


 ノーラに手渡されたのは、髪留めバレッタだ。

 黒い髪にはあまり似合わない、可愛らしい意匠のそれには、大きな亀裂が入っていた。完全に割れていたものを、なんとか修繕しただけにも見える。

 長髪をまとめて後頭部で留める。それだけで随分動きやすくなった。


「どうして、貴様が私の髪留めを?」

「スバルさんから預かったんです。壊れてしまっていたけれど、あなたが大事にしていたようだから、直せないかって。あまり綺麗にはできませんでしたけど……」

「……スバル!」


 その名が、記憶を一気に呼び覚ます。

 空の森での冒険、深奥で知った秘匿、そしてレッドフォード。


「奴は、どうした? なぜ私はカレヴァンに戻っている? さっきの連中は何者だ?」

「静かに」


 恐慌をきたすアリアを落ち着かせ、ノーラは《眼》を開いた。

 鴉の眼と称される超人的な洞察力は、少しの猶予があることを彼女に告げている。


「手早く説明します」


 そう口火を切ると彼女は、二人が指名手配されていること、帰還から十日が経過していること、その間アリアが眠り続けたことを語った。


「スバルさんとは初日に別れたきりです。アリアさんが教えてくれた鍛冶屋に行く途中で襲撃に遭ったのでしょう」

「私が……教えた」

「えぇ。あの地図は、あなたのものでは?」


 アリアは少しの間考え込み、そうだったかもしれない、と呟く。

 そこに奇妙な戸惑いがあることにノーラも気づいていた。しかしその正体を掴めず、とにかく話を進める。


「合流できればと思ったのですが、しかし彼がカレヴァンの擁する表向きの戦力を一身に引き受けているおかげで、こちらは動きやすい。彼もそのつもりなのかもしれません」

「その代わり、裏稼業の連中がこちらを狙っているというわけか。スバルは無事なのか?」

「今のところは」


 なんともいえない顔で、ノーラは嘆息する。

 冒険者、傭兵、賞金稼ぎ……カレヴァンでは連日、それらを叩きのめして回る男の情報で持ちきりだ。街の運営に影響があるほどの被害が出ている。彼が健在であることの証左だ。

 冒険者ギルドは懸賞金を餌に人海戦術を展開していたようだが、それもそろそろ撤回されるだろう、とノーラは踏んでいる。

 《斬り裂く刃ツェアライセン》の系譜にある、冒険者ギルド直属の治安維持部隊。その精鋭達が本腰を入れてくるのも時間の問題だ。


「いかにスバルとはいえ、日夜問わず追われれば消耗する。匿う場所があるなら、早く合流するべきではないのか」

「あなたは、どうするのです?」


 問いかけの意味がわからず、アリアは疑問符を浮かべる。

 ノーラは至極真面目な表情で、その黒い瞳を見つめた。


「スバルさんに頼まれました。あなたが目覚め次第、この街から連れ出すようにと」

「…………」

「しかし、それは彼の意思です。あなたは?」


 アリアは、すぐに答えることができない。

 魔剣を狙われることに嫌気が差し、各地を転々としていた。

 既に指名手配をされた以上は、留まるべきではない。むしろ混乱に乗じて行方をくらませるのが上策だろう。

 だが、それは躊躇われた。

 理由はある。

 儚い希望だ。

 そのためにも、スバルに会わなければいけない。


「……話は、ここまでですね。この場所も掴まれていたようです」


 俯いていたアリアは、弾かれるようにして顔を上げる。

 まさにその直後、激しい音と共に倉庫の扉が開かれた。騒々しい足音は十を下らない。


 ノーラは素早く立ち上がると、細工されていた壁を体当たり気味に破る。

 だが、外には幾人もの敵が待ち構えていた。何度も同じてつを踏む気はないらしい。


 囲まれる前に突破するべきだ。

 覚悟を決めて魔剣を構えるアリアに、刺客が接近してくる。


 彼らにも《黒い剣》の力は知られているはずだった。しかし、雨に紛れるように密やかな動きには一切の怯懦きょうだがない。

 アリアの素直な斬撃は、掠ることもなく空を切る。

 蹈鞴たたらを踏んだところに突き込まれるのは、取り回しやすいショートソードだ。鋭い尖端が身体を捩ったアリアの腕を裂き、赤い血を散らした。

 歯を食い縛って切り返す刃も、また届かない。魔剣が放つ衝撃すら見切り、その刺客は正確に間合いを測っていた。


 一般に、戦闘能力が最も秀でているのは冒険者であるとされる。

 だが彼らが賞金稼ぎや傭兵に勝てるかといえば、それは否だ。その多くは人外の魔物を相手取ることがほとんどで、巧みな技に対して弱い。それは彼女も例外ではなかった。

 しかもこの敵はおそらく、荒事を生業とする者の中でも特に対人戦闘を得意とする、暗殺者アサシンギルドの構成員だ。


 刺客を牽制するアリアの足元に、水飛沫を上げてなにかが倒れる。

 ノーラだ。致命傷はないが、棍を一つ失い、打撃を受けたらしい胸を抑えて呻いていた。


 目線だけで周囲を見渡せば、倉庫に踏み込んできていた連中に追いつかれてしまっている。完全に包囲され、ここを突破するなら全滅させる他はない。


「まずいな」


 弱音が口をついて出た。

 自分の何十倍も巨大な化物を前にしたとき、それを上回る危機感が募る。

 こんなところで死ぬわけにはいかない。だが意思だけではどうにもならないことがあると、痛いほど知っていた。


 ゆらり、と刺客達が揺れる。

 くる――――内心の怯えが、後退する足に現れていた。


「やっと見つけた!」


 この場にそぐわない、歓喜の声が響く。

 包囲の外にいる刺客の何人かが、その方向へ頭を巡らせた。


 雨に煙る路地の向こうに、一つの人影。軽やかな足取りで、接近する姿が、次第に明らかになってくる。

 白い鎧を身につけた冒険者らしからぬ男、リューク・レヴァンスだった。


「遅いですよ!」

「そんな無茶な。これでも合図を聞いて全力で駆けつけたんだ」


 その会話で、アリアはアジトの派手な崩落に得心が行った。

 あれは追っ手を減らすための罠であると同時に、別行動している仲間を呼ぶための狼煙のろしだったのだ。

 リュークは数の不利を理解しているにも関わらず、にこにこと人好きのする笑みを浮かべている。


「いや、しかし、暗殺者に狙われるとははくがついたね」

「暢気なこと言ってないで、とっとと……!」


 ノーラの非難を最後まで待たず、一人の男が闖入者を排除するべく包囲の円から離れてリュークに肉薄する。

 スバルのような人間離れした動きではないが、人の虚をつく隠密の足捌きだ。リュークもレッドフォードを撃退するほどの力を持つ騎士とはいえ、分が悪い。

 おそらくは、当人とノーラ以外の全員が、そう思っていた。


 刺客は間合いに踏み込むと同時に、ショートソードを素早く振り抜いた。人間を相手取ることに慣れていない者ならば、その一閃で喉笛を切り裂かれ絶命していただろう。

 だが――――。

 彼は、そうではなかった。

 ぱきん、という硬質の音は、いっそ滑稽だ。


「暗殺者は好きだよ」


 剣を叩き折った手刀を開き、嬉しそうにリュークが言う。

 そして、爆発的な勢いで地を蹴った。

 飛び退ろうとしていた男は、それ以上の速度で接近してくる相手を前に目を剥く。


 リュークは男の頭部を殴りつけるように掴むと、軽々とその身体を吊り上げた。頭蓋の軋む痛みに悲鳴を漏らし、じたばたと無様にもがく様を愛おしげに眺めながら、恍惚と笑む。


「殺しても、罪にならないからね」


 火薬が炸裂したような爆音。

 アリアと対峙していた者達も、さすがにそれを無視することはできなかった。


 彼らの目に映ったのは、宙吊りにされながら顔を業火に焼かれる同胞の姿だ。

 リュークの腕を振りほどこうと必死で掴み、それすらむなしく焼き尽くされている。不思議と火はスコールの中にあって消えず、赤々と輝いていた。


 やがて――――くしゃり、と頭が焼け潰れる。

 頭部と腕だけを灰にされた死体は水溜りに落ち、痙攣すらもすることはなかった。


「人を殺すのは久しぶりだ。この辺には盗賊もいないからご無沙汰だった」


 快活に笑う、彼の両手は燃え盛っている。

 その炎をまとったままの手が、腰の剣に伸びた。

 露わになった刃は赤熱の色。

 周囲が急激に白く霞み始めた。リュークを中心として渦を巻く熱気が、雨をことごとく蒸気に変えているのだ。


「さぁ、構えろ。君達にも人殺しの矜持きょうじがあるならば」


 鬼気のしたたるような呟きを零し、彼は疾駆した。

 慌てて迎撃に移る暗殺者は、あまりに遅い。

 袈裟懸けさがけの斬撃は男の首筋から侵入し、脇腹へと一気に駆け抜けた。

 呆気に取られた顔が、ずるりと傾き、地に落ちる。

 真っ二つに両断された死体には、ほとんどの出血がない。傷口が灼熱で炭化したためだ。


 肉の焦げる異臭を蹴散らしながら、更に踏み込む。

 剣閃は鮮やかで流麗だ。

 スバルやレッドフォードのものとは違い、長い年月で研ぎ澄まされた技巧を土台とする、剣術だった。

 それは鉄の刃をバターのように溶かし、その身体をステーキにナイフを入れるよりも容易に切り裂く。


「……なんという……残忍な」


 あまりに惨たらしい剣舞を前に、アリアは愕然とした。

 これほど目立ち、そしておそろしく強い男が、なぜ未だに無名のままでいるのか。それがせなかったのだ。


 リュークと昔馴染みのノーラは、その答えを知っている。

 彼は狂気的な殺人者だ。

 同時に生真面目で勤勉、そして打算的な面もあった。

 人を殺せば罪になるが、例外的なケースもある。相手が無法者や賞金首の場合、そして自分が犯人だということを隠し通した場合だ。

 そのギリギリのところを突き進んできたのが、リュークだ。

 己の行いが露見しそうになれば、その業界から足を洗い、拠点も変える。危うい場面は常人離れした胆力と見目麗しい外見で切り抜けた。

 そうして自らの腕を頼りに職を転々とし、今度は冒険者になったのだ。

 ゆえに、彼は誰にも知られず、二つ名すら持たなかった。


 惨殺されていく同胞の姿に危機感を抱いたのか、数人の暗殺者がリュークに背を向ける。

 その目が捉えているのは、アリアとノーラだ。

 どう足掻いても、あの炎の騎士には勝てない――――ならば目的を一つでも多く果たすべき。それが彼らの使命だ。

 アリアも、せめて生き延びねばと剣を構える。リュークの助けを待つまで持ちこたえられるかと気を張った。


 まさに相手へ斬りかかろうとしていた彼らは、だが同時に動きを止めた。

 あまりに場違いなものが、金縛りのように縫いとめたのだ。

 それは、獣の唸り声だった。


「黒い、獅子?」


 錯覚かと疑うが、それは確かにそこにいた。

 たてがみだけでなく、双眸から尾の尖端までを闇より暗い漆黒に染め上げた、影のような獅子だ。それはなにをするでもなく、ただそこにいて戦いを眺めていた。

 一体いつの間に、どこから現れたのか。


 困惑から最初に立ち直ったのは、アリアだ。

 獅子を意識の中で捉えたまま、一足飛びに暗殺者との間合いを詰めて魔剣を振り下ろす。

 虚をつかれた男は辛うじて一撃を回避するが、地面を揺るがせる衝撃に動きが止まった。


 その刹那が勝敗を分ける。

 噴き上がる雨水を突き破りながら跳ね上がった魔剣が、男の身体に喰らいついた。

 ばん、と、およそ刀剣が起こすものではない炸裂音。

 男の屈強な肉体は風船のように弾け、路面に血と肉片、砕けた骨の欠片が飛び散った。その後で、残された両足が思い出したように崩れ落ちた。


 刺客を屠ったアリアは、そのまま獣へと向き直る。

 冒険者としては人間よりも獣相手の方が慣れたものだが、それでも油断できようはずもなかった。その獣には、なにか底知れないものを感じたのだ。


 だが、その獣は既に存在しなかった。

 白昼夢を見たのかと思い、ぎこちなくノーラの方に頭を巡らせる。彼女もまた、信じがたい、というように目を瞬かせていた。


「どうかしたかい?」


 気がつけば、あれだけいた暗殺者の集団が、すべて地を這っていた。

 どれも人間の原型を留めぬほどに破壊され、また焼き尽くされている。

 アリアをして吐き気を催させるほどの惨劇を起こしながら、リュークは善良な騎士のような顔をしていた。


「いや、今……」


 ぱしゃ、とスコールに混じる足音。

 三人が視線を向けた先には、あの奇妙な獅子がいる。

 それは一人の人間を伴っていた。フードから垣間見える顔は女のもので、髪は鮮やかな深紅だ。


「あなたは、あのときの」


 ノーラには見覚えがあった。

 数日前に出会った二人組、その片割れだ。古風な口調の少年と同じ馬車に乗っていた、どこかからの来訪者。


 彼女は獅子を撫でつけると、どこかへ追いやるように手を振った。

 すると、夢か幻のように獅子が溶け崩れる。


 恐るべき獣の姿が失せ、しかし圧倒的な覇気は消えなかった。

 女が近づいてくるたびに、まるで万からなる軍勢が隊列を組んで行進してくるような、絶望的な威圧感に襲われる。

 その青灰色せいかいしょくの瞳が見つめているのは、アリアだ。


「あんたが、《黒い剣のアリア》?」


 気だるそうに言うと、彼女は雨の飛沫に濡れた髪を鬱陶しそうにかき上げる。

 りぃん、という、特徴的な音色がかすかに響いた。

 それはアリアの目をみはらせる。


 その耳元には、赤い光があった。

 赤黒い金属を使った、剣と鉈の装飾――《切り拓く剣》が。


「開拓者……」


 女は少しの間合いを空けて対峙し、切れ長の眼で三人を睥睨した。

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