第2話


僕は、運ばれてきた朝食を食べ、医者の簡単な診察を受けた。


そのあと、身体に何らかの不調があるわけでもないので、ベッドの上にいなければならないわけではないのだが、なぜかベッドの上が落ち着くため、そこから空を眺めていた。


そんな退屈な時間を過ごしていたら、


「お兄ちゃん!!大丈夫!?」


と、病院では考えられないほど大きな声を上げながら、ドアを壊す勢いで開けたのは、淡い緑色のワンピースの美少女だった。


麗姫も美少女なのだが、麗姫はどちらかと言うと綺麗と言う感じなのだが、今来た少女は可愛いという方面が強い美少女だ。


「お兄ちゃん!!大丈夫なの!?」


……って僕のことか。

家族構成は聞いたけど、記憶がないから妹がどんな容姿をしているかは、わからない。

昨日話を聞いた麗姫からは『可愛らしい子だよ、しっかりもしてる』としか聞いていない。

……容姿どころか名前について何も教えてもらっていなかった。

父親と母親には会ったことがないから、何の情報もないし……、どうすればいいんだ?


「……お兄ちゃん?私の顔に何か付いてる?」


……どうやら顔を凝視し過ぎたらしい。

こういう時は、なるべく下手に出て、顔色を伺いながら相手について聞くのがいいのか?

それとも、記憶がないから君のことが誰だかわからないと、素直に言うのがいいのか?



「えっと……」


「おにちゃん?」


「あら、六夢ちゃんもう来てたの?」


そこに救世主のごとくやってきた麗姫。

まるで僕が妹のことで困るのが助けるために登場したみたいだ。


「……麗姫さんですか。お久しぶりです」


「『お久しぶり』って言われるぐらい話してなかった?」


「そうですよ?もう記憶力が落ち始めてるんですか?はやいですね」


「心配してくれてありがとう。でも、私の記憶が間違ってなかったら、まだ十四時間と少ししかたってないと思うのだけど?」


「正確には、十四時間三十七分前ですね。わたしが言っているのは、直接会って話した時のことを言っています」


「あら、そうだったの。どうやら私の勘違いだったみたいね。ごめんなさいね」


え?なにこれ?

二人とも笑顔なのに超怖いんですけど……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あなたの名前は? 茂野 慶 @kouyo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ