第7話 憑依

「呪詛返しのきかない敵?」

 ジュースを持ってきた瞳が問いかえした。


「たぶん」

 俊介は自分の部屋のようにくつろぎ寝ころんでいる。



「でも呪いを破られたら、災いがはねかえるはずじゃ」

「敵はいつもだれかを中継して、呪いをかけてきているんだ」

 掌を拳で叩いて悔しがる俊介。

「だから呪術者本人は無傷のはずだ」

「厄介な相手ね」


「そこでだ」

 俊介は上半身を起こした!

「瞳の協力がいる」

「え?」



 高層ビルを見上げる俊介。


 すでに深夜。無人の街並である。


「そこに例の飛びおりた奴が落ちた」

 瞳の足元をしめした。

「老師に相談しなくていいの?」

 瞳は不安げに俊介に確認した。

「老師は日本の未来を、占うのにいそがしいよ」


「わかったわ」

 あきらめたように瞳はまぶたをとじた。

 やがてトランス状態に陥る瞳。その口から白い物が溢れだしてきた。

 エクトプラズムだ

それがやがて男の姿へと変化する。


「く……らい……だれか……たすけて」

 エクトプラズムの男がうめいた。

「おれをおぼえているか?」

 俊介が男の前に立った。

「あ、ああ……」

「成仏させてほしけりゃ、誰に操られていたのか、教えろ」

 エクトプラズムの男は、苦しげに口をパクパクさせた。


「……さ……きょ……う」

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