ブルーハワイ
夜半の夏ブルーハワイを漂へり
酒は基本的に何でも好む。中でもカクテルは、そのレパートリーの幅広さと美しさがとても好きだ。
以前、行きつけのカクテルバーがあった。
カウンターに座り、バーテンダーの鮮やかな手許を見ている時間は最高に幸せなひとときだった。
その日の気分で、カクテルの色や味を選ぶのも楽しみのひとつだ。爽やかなグリーンやレモンイエロー。甘くてミルキーなコーヒー色。お任せで作ってもらったカクテルは、ロゼのスパークリングワインのような華やかなピンク色と、フルーティーな味わいが素敵な一杯だった。
ある夏の夜。外は暑く、身体が溶けるようだ。
カウンターで口当たりのよい爽やかなカクテルを数杯楽しんだ後、ブルーハワイをオーダーした。
昼間の暑さと疲れで気怠い身体にアルコールが少し効いて、頭と身体を心地よい重たさが包む。
少しフワフワ揺れる視線で、目の前に置かれたブルーハワイを見つめた。
鮮やかで爽やかな、透き通る青。
その青く美しい液体の中に、クラッシュされた氷が輝く島のように浮かぶ。
グラスの縁に添えられたパイナップルの黄色が南国の陽射しを呼ぶ。
手にしたグラスに少し顔を寄せて、バーテンダーの背後の照明に鮮やかなブルーを透かす。
酔いのせいで、軽く漂う視線と意識。——そうしてみると、その液体の中をまるで自分の身体が漂うようだ。
甘くフルーティな、南の楽園のような味のカクテル。
その甘美な液体の中を泳いだ、至福のひとときだ。
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