007.Harpsichord~ハープシコード


バロック時代の名器である。

ピアノの前身とされ、当時弦をハンマーで叩く技術がなかった為、その構造は弦を鳥の羽などを材料とした、プレクトラムと言われる爪で弾く方法を持っている。

それ故、音はアタック感があってジャラジャラと鳴り、強弱はあまり付けられない。

そこで用いられる方法がトリル演奏やアルペジオ。トリルはその音を強調させる為に用いられた。

二段や三段の物もあり、オクターブ高い弦が張られている事が多く、同時に弾くことで倍音を増やし、さらにきらびやかな音を奏でる。

その為に下の鍵盤を押すと、上に張られた弦も同時に弾く為の切替レバーが取り付けられていた。

弦を弾く場所でも音の違いがあり、手前に近い部分を弾くフロントはやや固めで張りのあるサウンドが鳴り、通常で中の方を弾くバックはふくよかな厚みのある上品な音を奏でる。

そして、弦をフェルトで抑えることで、リュートに似た音を出す装置もあった。

楽器としての価値観ばかりではなく、インテリア性も高く、ボディーには様々なデコレーションや絵画が施されている物が多い。

鍵盤は、現在の鍵盤とは白黒が逆になっており、これは女性の指を美しく見せるための工夫だとされている。

ハープを横にして鍵盤を取り付け、爪で弾く構造を持たせた物がハープシコードであるという、俗説がある。

この楽器が、いつごろ、誰によって発明されたかは定かではないが、この楽器が元になった楽器としては、箱に幾本も張られた弦を弾くプサルテリウムという撥弦楽器と言われている。この仲間には、「第三の男(恵比寿駅やヱビスビールのあの曲)」で知られるチターや、中国の揚琴、日本の筝(琴)、後の解説で取り上げるダルシマーなど様々にある。

ハープシコード(英)は、チェンバロ(伊)、クラブサン(独)とも呼ばれている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る