第8話 大学生編2~カヤック王に、俺はなれない。

 大学を無事卒業できそうだったので、卒業旅行に行くことになった。


 延々考えた結果のチョイスはなぜかマレーシア。

 別にマレーシアが好きでもなんでもなかったのに、なんでだろ?


 しかも首都クアラルンプールには行かず、ランカウイ島という一応リゾートらしき島のみ滞在した。

 ちなみに私はさして海は好きではない。


 とりあえず友人と名産のナマコの石鹸を買ったり、散歩したり、ドリアンがホテルに持ち込めないのでがっかりしたりした。

 ちなみにナマコの石鹸はお土産として人にあげたが、自分では使うことがなかった。なかなか強い匂いのする所がポイントである。


 さて次の日、アクティビティをしないと時間が持たないので、何かやろうということになった。

 協議の結果、シーカヤックに乗ることに。


 未知なる冒険にさすがの私も多少うきうきして出かけた。色々な世界が私を待ち、可能性は無限なのだから!


 コーディネートの人がまず、カヤックのオールの使い方を教えてくれる。

 前で手本を見せてくれた。

 他のお客さんも、友人も少しずつ出来ている。


 はにゃ?

 なんで出来ないのかにゃー?


 全くどう回していいのかわからん。

 ここでも不器用を如何なく発揮してしまった。


 結局一番最後まで習得できず、友人を待たせ、中途半端な有様でカヤックに乗る始末。


 うぬう、漕ぎにくい。

 あんまり進まない。

 力任せにしたらおかしな方向に進んでしまい、マングローブにぶつかる。

 わざとじゃない、わざとじゃないんだ。


 私は全くの役立たずとして船に乗り、航海を終えた。海賊王のクルーには全くなれそうもない。


 それ以来カヤックという言葉を聞くと、戦慄が走るのであった。

 もちろん、あの後は乗っていない。

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