第7話 大学生編~たそがれ☆クリスマス

 晴れてでもないが、大学生になった。アルバイトをし、サークルに入り、そこそこ授業に出るふつうの生活。

しかしそこに愛やら恋やらの入り込む隙間はなかったのであります。

 

 さて、クリスマスってありますよね?

ツリーを飾り、ケーキを食べたりするお祭りです。

大学生ともなると、この時間をどう過ごすか、というのが若干プレッシャーになるお年頃。


 その年のクリスマスは平日で、普通に授業があった。電車に乗って、いつもの日常を送る。なんにもいつもと変わらないはずだぞ?


 ただ、まっすぐ部屋に帰るのもなんか心がちくちくするぜえ、と思い、何故か映画館に行くことにした。


 1人で。


 特に映画を見る習慣もなく、映画が好きな訳でもない。しかしこの時はそれしか思い浮かばなかった。

 私は2本立て映画が見られる学生のお財布に優しい映画館に行った。


 果たしてそこでやっていたのは……

 「たそがれ清兵衛」だった。

 クリスマスに一人で「たそがれ清兵衛」。


 私の心になんとしっくりくる映画だろう。神様ありがとう。

 かっこいい立ち回りと渋いドラマを堪能し、2本目の映画は見ずに席を立った。


 なかなか印象深い聖夜の思い出である。


 それ以来クリスマスに映画は見ていない。

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