第6話 高校生編2~じゅけんのはなし

 大学受験をした。

 以前書いた通り、完全文系なので3教科だ。それでもきつかった。


 そもそも途中まで、私は大学受験すべきかどうか考えていた。

 働きたかった訳ではない。


 声優の専門学校行きたいな、とか今思えば超やめておいて正解だった、ちょっとした野望を持っていた。


 結局とある大学の説明会に行き、

 モラトリアムが必要だという結論に達し、受験をすることにした。

 志が適当である。


 さて。最後の1年だけ娯楽の類いを封印して迎えた試験。

 色々ありました。


 ある所では試験会場の最寄りの改札口を間違えた。

 半狂乱で泣きながら走った。

 結果その学校には落ちた。


 センター試験では上履きを忘れた。

 友達がいる中、恥ずかしかった。


 そして最も辛かったのが、1回試験を途中退場したことである。

 忘れられない。


 冬の寒い日、試験会場に着いた。最初は平気だったのだが、試験直前になって、急に調子が悪くなった。

 なんてことだ。

 脂汗が浮いてきた。


 最初の科目は英語だった。

 得意とはお世辞にもいえない教科である。問題文がぐるぐるする。


 吐き気と戦いながら解く。

 最後まで解かなきゃ…マークシートだから…と思い必死で答えらしきものを書く。


 終わった…見直ししなきゃ…と思うもすでに力は失われており、手を上げて退場した。


 初めてのことだったので、とても情けなく感じた。

 そのまま休憩所で少し休んだ。


 驚いたことに休んだら、少し調子を取り戻せた。そして運良く次の科目を受けられた。その後は倒れることもなかった。


 保健室で休んだことがないくらいの自分がまさかこうなるとは。

 相当ストレスだったのだろう。


 まあ、まず受からないよなあ。

 失敗したもんな。

 それなりに行きたい所だったんだけどな。


 悲しみをこらえながら他の所を受けた。

 もう同じようなことは起こらなかった。


 そしてそして。

 合格発表の日。

 意外にも、失敗したと思っていた志望校で番号を見つけた。


 英語を見直さなかったのがかえって良かったのか…

 怪我の功名というやつかもしれない。


 とはいえ、こんな思いはもうしたくないので、気をつけたい。

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