第3話 中学生編~パジャマはジャージでいい。

 中学生になった私が直面したのが、とある教科である。


「体育?」


ブッブー。まあもちろん、大嫌いなんだけどさ、小学校時代に地獄を見たから思ったよりいけちゃったわけよ。(ただし全然得意にはならず)


「美術?」


いやいや。まあ絵心ないですけどね。でも部活が美術部だったんですよ。なんにも絵を描かなかったけど。ただお茶してただけだけど。

 

 問題なのは、「家庭科」だった。

調理実習はまだよかった。料理してるふりすれば良かったし、連帯責任だからそんなに痛くない。ペーパーテストは可もなく不可もなく、だった。


 本当の敵は「裁縫」の時間。

まずミシンの上糸と下糸がようわからんし、型紙取るのが苦痛だし、うまく待ち針も打てないし、とにかくもう地獄の黙示録であったことよ。


 折悪く担任が厳しい家庭科教師になり、ストレスはマシマシ。

そんな中、1学期の後半の授業でパジャマを作ることになった。最初から白旗を上げた私は、親などなどに手伝ってもらうことを考えた。


 授業が始まり、もそもそと手とミシンを動かす。進まないしガッタガタだし夢も希望もありゃしない。早く授業終われ終われ!と、とにかく念じた。

 キーンコーンカーンコーン。よっしゃ!終了だ!さーて持って帰るかげへへ、と思っていたら、そこに待っていたのは担任の無常なる一言。


「作品は回収します」

え、何だって?

「出席番号順に回収します」


えええええええええええええええええええええええ。

おのれ担任!自分が得意だからって、いい気になりやがって!

こうして「親とかに続きを作ってもらおう作戦」は水泡に帰した。


 毎週毎週、遅々として進まない「パジャマになる前の何か」は無情にも回収され、鍵つきの棚に入れられた。

 そして、なかなか終わらない生徒は完成するまで頑張らねばならなかった。コイルの時と同じである。夏休みも学校に行ったと記憶している。ああにっぽんの夏。家庭科なんか大嫌い。


 その後も裁縫には苦労し続け、社会人になった私を悩ませることになるのだが、それは後にお話したい。


 最後になるが、普段は凡庸な私の家庭科の成績は、実技を伴うと更に「2」下がることが判明した。通信簿を見て我が身の不器用さを呪ったことはいうまでもない。前世の祟りかな?


 ではまた次回。過去の自分と対峙したいと思います。

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