　完成度（かんせいど）を高（たか）めるために何（なに）をするべきでしょうか？　もしくは何（なに）が必要（ひつよう）でしょうか？

　もっと速（はや）く書（か）けること？

　長文（ちょうぶん）がかけること？

　ものすごく細（こま）かい設定（せってい）？

　ストーリーの奇抜（きばつ）なアイデア？

　かっこいいキャラクター？

　文章（ぶんしょう）の華美（かび）な表現（ひょうげん）？

　違（ちが）います。それらは書（か）く能力（のうりょく）やオリジナリティや表現力（ひょうげんりょく）であって作品（さくひん）そのものの完成度（かんせいど）ではありません。

　何度（なんど）も書（か）きますが完成度（かんせいど）とは過不足（かふそく）である程度（ていど）判断（はんだん）できます。

　初心者（しょしんしゃ）にとっての完成度（かんせいど）とは過不足（かふそく）の量（りょう）そのものであり、過不足（かふそく）の質（しつ）そのものです。

　どんな部分（ぶぶん）に過不足（かふそく）があって、どんな部分（ぶぶん）が読（よ）み手（て）に受（う）け入（い）れられていないのか、そこをハッキリさせるのが人間的（にんげんてき）で個人的（こじんてき）な判断（はんだん）であり作品制作（さくひんせいさく）における押（お）さえるべきポイントになります。

　過不足（かふそく）の確認方法（かくにんほうほう）はいくつかあります。

　頭（あたま）の中（なか）の物語（ものがたり）を整理（せいり）し場面（ばめん）ごとのキーワードや単語（たんご）を書（か）き出（だ）しましょう。書（か）いた文章（ぶんしょう）の中（なか）にそれらの要素（ようそ）はすべて含（ふく）まれていますか？　要素（ようそ）として不要（ふよう）なキーワードや単語（たんご）が何度（なんど）も何度（なんど）も使（つか）われていませんか？

　文章（ぶんしょう）の中（なか）に読者（どくしゃ）の知（し）らない単語（たんご）は含（ふく）まれていますか？　表現（ひょうげん）や説明（せつめい）の内容（ないよう）は適切（てきせつ）ですか？

　小説（しょうせつ）独特（どくとく）の文章（ぶんしょう）を除（のぞ）けば、読者（どくしゃ）と現実（げんじつ）に会（あ）って口頭（こうとう）で読（よ）み上（あ）げても伝（つた）わりますか？

　そもそも読者（どくしゃ）はどのような人（ひと）ですか？　高校生（こうこうせい）以上（いじょう）であるとか、普段（ふだん）から本（ほん）を読（よ）む人（ひと）であるとか、３つくらいの条件（じょうけん）を付（つ）けましょう。読者（どくしゃ）は生（い）きています。ふわふわした綿（わた）アメではありませんし、作者（さくしゃ）と同（おな）じ人間（にんげん）です。喜怒哀楽（きどあいらく）を持（も）っています。そして、なぜか尊大（そんだい）である場合（ばあい）もあります。理由（りゆう）はかなり単純（たんじゅん）で、作者（さくしゃ）が読者（どくしゃ）よりも若（わか）かったり知識的（ちしきてき）に劣（おと）ったり、はたまた説明（せつめい）が下手（へた）だったりすると「オイラはこの作者（さくしゃ）より賢（かしこ）いぞ」とマウンティングに入（はい）ります。マウンティングとは、オイラのほうがすごいぞ、と叫（さけ）びはじめることです。

　恋愛（れんあい）ジャンルやファンタジージャンルであればそのような事態（じたい）が起（お）こりづらいのですがお仕事（しごと）系（けい）の小説（しょうせつ）や専門分野（せんもんぶんや）ではよくあります。

　読者（どくしゃ）側（がわ）のマウンティングへの対策（たいさく）をしましょう。

　まず、知識（ちしき）が正（ただ）しいことをある程度（ていど）は保証（ほしょう）しましょう。下調（したしら）べや意味（いみ）の確認（かくにん）がこれに当（あ）たります。最低限（さいていげん）、指摘（してき）や質問（しつもん）を受（う）けたものは調（しら）べられる範囲（はんい）で調（しら）べましょう。

　次（つぎ）に、読（よ）み手（て）の立（た）ち位置（いち）を調査（ちょうさ）する必要（ひつよう）があります。市場調査（しじょうちょうさ）です。

　ＷＥＢ小説（しょうせつ）では異世界転生（いせかいてんせい）などの似（に）たり寄（よ）ったりのジャンルや作品（さくひん）が多数（たすう）投稿（とうこう）されていますが、これはＷＥＢ小説（しょうせつ）における市場調査（しじょうちょうさ）の結果（けっか）です。

　あなたの書（か）く小説（しょうせつ）に近（ちか）い内容（ないよう）で、あなたが高評価（こうひょうか）できて、かつ全体（ぜんたい）としても高評価（こうひょうか）を得（え）ている作品（さくひん）を読（よ）んでください。その作品（さくひん）では物語（ものがたり）をどのように書（か）いていますか？　その文章（ぶんしょう）を小学生（しょうがくせい）の国語（こくご）の授業（じゅぎょう）のように実際（じっさい）に書（か）き写（うつ）してみましょう。作品（さくひん）のリズムや内容説明（ないようせつめい）のためのキーワードや単語（たんご）の取捨選択（しゅしゃせんたく）がされているはずです。また多（おお）くの場合（ばあい）は作品（さくひん）と関係（かんけい）ないことは書（か）かれていないか、文章（ぶんしょう）の配置（はいち）としてある段落（だんらく）にまとめて書（か）いてあるのではないでしょうか。

　説明（せつめい）における間違（まちが）いや嘘（うそ）もほとんど無（な）いはずです。例（たと）え話（ばなし）も少（すく）ないはずです。それらは現実（げんじつ）で他人（たにん）と会話（かいわ）するときにつまらない原因（げんいん）になったり話（はなし）が滑（すべ）る原因（げんいん）であるため、小説（しょうせつ）の文章（ぶんしょう）でも回避（かいひ）される傾向（けいこう）があります。説明（せつめい）の間違（まちが）いや嘘（うそ）は一般的（いっぱんてき）なものであれば辞書（じしょ）で調（しら）べたりネットで検索（けんさく）すれば防（ふせ）げます。活用（かつよう）できるものは活用（かつよう）しましょう。

　過不足（かふそく）を技術的（ぎじゅつてき）に把握（はあく）する方法（ほうほう）はキーワードや単語（たんご）に限（かぎ）りません。例（れい）として構成要素（こうせいようそ）に着目（ちゃくもく）しましょう。

　メディアに依（よ）らない作品（さくひん）の構成要素（こうせいようそ）は以下（いか）の通（とお）りです。

　　○世界観（せかいかん）

　　○ストーリー

　　○キャラクター

　キャラクターは文学作品（ぶんがくさくひん）などである場合（ばあい）は人物（じんぶつ）と読（よ）み替（か）えてください。

　そこに、書（か）き手（て）が表現（ひょうげん）を加（くわ）えることになるため文章（ぶんしょう）が加（くわ）わります。

　　○世界観（せかいかん）

　　○ストーリー

　　○キャラクター

　　○文章（ぶんしょう）

　文章（ぶんしょう）はどのように読（よ）まれるでしょうか？

　紙面（しめん）であったりパソコンやスマホの画面（がめん）です。

　ＷＥＢ小説（しょうせつ）である場合（ばあい）、上記（じょうき）の要素（ようそ）に画面（がめん）を追加（ついか）することになります。

　　○世界観（せかいかん）

　　○ストーリー

　　○キャラクター

　　○文章（ぶんしょう）

　　○画面（がめん）

　世界観（せかいかん）やキャラクターについてはキーワードや単語（たんご）で解決（かいけつ）します。ストーリーはかなり確立（かくりつ）された分野（ぶんや）なのでハリウッド映画（えいが）のストーリー構成（こうせい）などを参考（さんこう）にしてください。三幕構成（さんまくこうせい）などが代表的（だいひょうてき）です。

　文章（ぶんしょう）は内容（ないよう）の誤（あやま）りや単語（たんご）の誤用（ごよう）、作品（さくひん）と関係性（かんけいせい）の薄（うす）い表現（ひょうげん）や例（たと）え話（ばなし）がないかの確認（かくにん）、キーワードや単語（たんご）で解決（かいけつ）します。

　画面（がめん）の確認方法（かくにんほうほう）は実際（じっさい）に見（み）るしかありません。レイアウトが人間（にんげん）に与（あた）える印象（いんしょう）については説明（せつめい）しませんが縦書（たてが）きと横書（よこが）きは別物（べつもの）と考（かんが）えてください。またＷＥＢ小説（しょうせつ）では紙（かみ）の代金（だいきん）が発生（はっせい）しないため改行（かいぎょう）が多（おお）くなりがちです。紙（かみ）の本（ほん）で改行（かいぎょう）だらけにすると……プリンターをお持（も）ちであれば実際（じっさい）に試（ため）してみてください。社会人（しゃかいじん）になるとパソコンで文章（ぶんしょう）を作（つく）りプリンターで印刷（いんさつ）して内容確認（ないようかくにん）を行（おこ）うことが多（おお）いです。

　多（おお）いということは理由（りゆう）があるからです。ぜひ試（ため）してみてください。それらを理解（りかい）した上（うえ）で実物（じつぶつ）を印刷（いんさつ）せずに済（す）ませるのと、理解（りかい）せずに実物（じつぶつ）を印刷（いんさつ）せずに済（す）ませるのは違（ちが）います。ただ、作品（さくひん）が紙本（しほん）になることを想定（そうてい）しない場合（ばあい）は印刷確認（いんさつかくにん）をしなくていいかもしれません。

　多（おお）くの人（ひと）に読（よ）んでもらいましょう。

　多（おお）くの人（ひと）に読（よ）んでもらうことが上達（じょうたつ）の近道（ちかみち）であるというのは少（すく）ない読者（どくしゃ）の偏（かたよ）った意見（いけん）を無限（むげん）に追（お）い続（つづ）けるのを避（さ）けるという意味（いみ）もあります。人（ひと）は世界中（せかいじゅう）にいっぱいいます。あなたの作品（さくひん）を読（よ）んでくれる読者（どくしゃ）は、今（いま）は読（よ）んでいないだけで世界中（せかいじゅう）にいっぱいいるのです。

　作品（さくひん）を褒（ほ）める人（ひと）や作品（さくひん）をけなす人（ひと）、作品（さくひん）を良（よ）くするためのアドバイスを考（かんが）えてくれる人（ひと）、作品（さくひん）をとりあえず非難（ひなん）する人（ひと）、作者（さくしゃ）本人（ほんにん）の人格（じんかく）を攻撃（こうげき）したがる人（ひと）、通（とお）りすがりの賢者（けんじゃ）、色々（いろいろ）です。わたしはそれらを読者（どくしゃ）タイプと定義（ていぎ）しています。

　読者（どくしゃ）の意見（いけん）のうち検討対象（けんとうたいしょう）になるのは複数（ふくすう）の読者（どくしゃ）タイプから出（で）ているものではないかと思（おも）います。褒（ほ）める側（がわ）からもけなす側（がわ）からも出（で）る意見（いけん）は採用（さいよう）すべきかどうかに関（かか）わらず重要（じゅうよう）です。

　作品（さくひん）を提供（ていきょう）するときの心構（こころがま）えも大事（だいじ）です。読者（どくしゃ）と作品（さくひん）は、店員（てんいん）とお客（きゃく）様（さま）の関係（かんけい）に似（に）ています。作品（さくひん）を提供（ていきょう）して時間（じかん）を支払（しはら）ってもらうのです。

　店員（てんいん）に対（たい）して「俺（おれ）はお客（きゃく）様（さま）だ！　神様（かみさま）だぞ！」と叫（さけ）ぶ人（ひと）に対（たい）してへりくだってはいけません。逆（ぎゃく）もしかりです。読者（どくしゃ）を自分（じぶん）の下僕（げぼく）か何（なに）かと勘違（かんちが）いしてはなりません。

　現実（げんじつ）の人間関係（にんげんかんけい）と同（おな）じように作者（さくしゃ）と読者（どくしゃ）の関係（かんけい）もまともであるべきです。

　まともな関係（かんけい）を築（きず）こうと思（おも）うなら、文章（ぶんしょう）に書（か）いてはいけない内容（ないよう）や、文章（ぶんしょう）に紛（まぎ）れ込（こ）ませてはいけない内容（ないよう）があることも分（わ）かるはずです。それらが分（わ）かっている上（うえ）であえて書（か）くことと、分（わ）かっていないのに書（か）くことは全（まった）く違（ちが）います。

　上述（じょうじゅつ）のいくつかのポイントを参考（さんこう）に過不足（かふそく）を減（へ）らして作品完成度（さくひんかんせいど）を高（たか）めましょう。

　完成度（かんせいど）はラノベだろうと文学作品（ぶんがくさくひん）であろうと芸術品（げいじゅつひん）であろうと作品（さくひん）と名（な）の付（つ）くものにはかならず存在（そんざい）します。

　逃（に）げないでください。逃（に）げて得（え）られるものはありません。逃（に）げながら得（え）た完成度（かんせいど）は、プロが仕事（しごと）として続（つづ）けていくために必要（ひつよう）としている完成度（かんせいど）とは異（こと）なります。世（よ）の中（なか）にはプロ級（きゅう）の人（ひと）が沢山（たくさん）います。あなたの代（か）わりは沢山（たくさん）います。だからこそ居場所（いばしょ）は自分（じぶん）で作（つく）り続（つづ）ける必要（ひつよう）があります。

　自分（じぶん）のグループを作（つく）って居場所（いばしょ）を確保（かくほ）するのも手（て）ですが、小（ちい）さなグループ内（ない）に篭（こ）もることはグループ外（がい）への影響力（えいきょうりょく）は無視（むし）していることになるので気（き）をつけましょう。自分（じぶん）の所属（しょぞく）する複数（ふくすう）のグループに所属（しょぞく）している人（ひと）の合計数（ごうけいすう）が読者限界数（どくしゃげんかいすう）です。

　最後（さいご）に、今回（こんかい）長々（ながなが）と書（か）いてきた完成度（かんせいど）を高（たか）めるための方法（ほうほう）は最後（さいご）まで書（か）ききった作品（さくひん）にしか適用（てきよう）できません。

　作品（さくひん）は最後（さいご）まで書（か）きましょう。未完成（みかんせい）の美（うつく）しさが許（ゆる）されるのはお金（かね）や時間（じかん）のやり取（と）りが発生（はっせい）しない場合（ばあい）に限（かぎ）られます。ＷＥＢ小説（しょうせつ）の投稿（とうこう）サイトではお金（かね）は発生（はっせい）しませんが時間（じかん）のやり取（と）りは発生（はっせい）します。