第15話 楽しみにしてます

「INT型ヒーラー「エリナ」の日常ブログ 〇月×日の日常」


 今日はギルドのみんなと「深淵しんえんの森」の最下層にきてみた。

 この狩場は、中級者にとってはお金と経験の両方がほどよく貯まる狩場と思う。

 特にある程度装備を整えたヒーラーなら、MP回復の装備にもよると思うけど、集中力の続く限り、狩場に潜っていられると思う。


 私の場合、装備は全て漆黒しっこくシリーズで揃えているので、INTによる消費MPの軽減に加え、漆黒シリーズの毎秒ごとのMP回復による恩恵おんけいで、この狩場では余程の事が無い限り、MP休息をとる必要は無いかも。


 INT型でもこれだけの恩恵がある漆黒シリーズだから、INT型以外のヒーラーには必須なんじゃないかな。


 では、この高価なシリーズをどのように集めればよいか、私なりの金策、またはモンスターからのドロップについての見解を書いていきたいと思います。


 以下略。


「自由同盟ギルドの日記 〇月×日 ダークマスターの日記」


 今日はギルドの皆と一緒に「深淵の森」へ来た。

 メンバーは、俺、ライデン、千隼さん、ヒイロ、エリナ師匠の5人だ。


 この場所には何度も足を運んでるんだけど、中々レアが出ないんだよなあ。

 エリナ師匠はここで「漆黒の杖」を手に入れたらしいけど、そんなもんレア中のレアだろ。普通手に入らねーよ。


 最近は、無駄死にをしない事、無駄遣いをしない事を目標にやってるんだけど、そのせいか、あまり死ななくなった気がする。

 お金も前に比べたら貯まりがはやくなった気がする。


 これ、お兄ちゃんLOVEさんにアドバイスもらったんだよね。

 今度お礼言っとかないとな。


 あとライデンは相変わらず突っ込みすぎだろう。お前は猪か!って、思わず突っ込みそうになったぜ。


 以下略


 〇月×日、別に口裏を合わせたわけではないんだが、俺と姉貴が同じ日に日記を書いていた。

 俺が日記を書いてアップロードしていたら、姉貴から「日記書いたからギルドのブログに掲載しなさい」と言われて発覚した。

 いや、別に同じ日に書いてアップロードするのが問題があるわけじゃないんだけどな。

 けどさ、こういうのって比較されるじゃん?しかも俺と姉貴はゲーム内で付き合ってる事になっている。

 そりゃもう絶対に比較されるだろう。


 姉貴が書いた日記、はっきり言って実用度満点の日記となっている。

 これはもはや日記ではなく、ヒーラー入門と言っても過言じゃないだろう。

 それに比べ、俺のは完全なる日記となっている。ギルドメンバー以外が見た所で、なんら面白くもなんとも無い内容だ。


 よりによって、なんで同じ日に日記を書いてしまったんだ・・・。


 ただ、姉貴に俺の日記を見せたら絶対「全然面白くない」と酷評されるんじゃないかと思ってたんだけど、意外にも「まあ、いいんじゃない?」だけで終わった。

 俺の予想では、


「ぷっ、何この面白みもくそも無い日記wwwあんた才能無いわwww」


 くらいの酷評を受けるんじゃないかと、内心かなりドキドキしてたんだけどな。

 まあでも、酷評はされないに越したことは無いので、これでよしとしておこう。俺は決してドMではないからな。


 そういうわけで、ゲームにログインしてギルドの皆さんに日記を書いたことを告げ、その反応を待っている所だ。

 いやあ、別に大した事をかいたわけじゃないんだけど、すげえ緊張するね!

 なんかラブレターを書いて、それを添削されているような気分だぜ。


団長「やあ、戻って来たよ」


アッキー「戻ったよー!」


 まず戻って来たのは団長夫婦のようだ。


団長「いやあ、エリナちゃんの日記凄いね!」


アッキー「ホントびっくりした!何あの情報量」


エリナ「いやあ、書いてアップロードした後見直してみたんだけど、第一回目から飛ばしすぎた気がする・・・」


 それは俺も思ったんだよ。なんだよこの情報量は・・・って。

 姉貴に聞いたら、「気付いたら書いてた」だって。


 それ聞いてさ、やっぱり姉貴にブログ勧めて正解だったな~って思ったよ。

 だってそこまで夢中で書いてた事はだよ?やっぱり誰かに聞いてもらいたかったし、話もしたかったんだと思うわ。

 ただ、うちのギルドの場合、ヒイロ以外全員まったり屋さんなので、中々自分の意見を言える機会が無かったんだろうな。

 レベル100目前のキャラを保有している千隼さんでさえまったり派だからな。


アッキー「ダーク君のは完全に日記だったね。お姉さんがっかりした」


ダーク「いや、日記なんだから日記で良いでしょ!なんすかがっかりって・・・」


アッキー「ダークをマスターする男がそれでいいと思ってるの?」


ダーク「意味わからないっす!」


団長「まあ、冗談はさておき。団員の活動内容が日記で見れるのは思ったより面白いものだね」


ダーク「そうですか?」


団長「ライデンの動画もそうだけど、僕らがいない所で他のギルドメンバーがなにをしてるのかを知れるのは悪い事じゃないよ」


千隼「ただいまー!エリナちゃん凄いよ!」


 そうこうしているうちに千隼さんが帰って来た。


エリナ「そ、そう?」


千隼「日記というよりヒーラーへの道って感じのコラムを見てる気分になったもん!」


 やっぱそう思うよな。


ヒイロ「エリナさん凄いです!とてもわかりやすかったです!」


エリナ「あ、ありがと・・・w」


 ヒイロさん大興奮です。


ヒイロ「なんか私までヒーラーやりたくなってきました」


エリナ「あはは。まあ装備は奇術師とほぼかぶってるし、スキルアップの為にやってみるのも悪くないよ」


ヒイロ「ホントですか!?」


エリナ「奇術師とヒーラーはお互いが補完関係にあるからね。ヒーラーをすることによって、相手が何を望んでいるかとか見えてくるところもあると思う」


ヒイロ「なるほど・・・」


 ヒイロは姉貴の話に聞き入ってるようだ。

 なんか、完全に勉強会のような雰囲気になって来たなあ。


ダーク「なあ、師匠のブログは、ずっと今のスタイルでいくわけ?コラム的な感じの」


 今のギルドチャットでのやり取りを見て、ふと思ったことがあったので姉貴に質問してみた。


エリナ「うーん、今のスタイルで行く、というより、このスタイルでしか書けないのよね。ほら、日記とか書いた事ないし」


ダーク「なるほど・・・。というか、俺も日記とか書いた事ないんですけど?」


 一瞬納得しかけたが、よく考えれば俺だってそんなもん書いた事ねーよ!

 なのにこいつがやれって言うから頑張って書いたんだよ!


エリナ「そんな事知らないわよ。ダークがやるって言ったんでしょ」


ダーク「一言も言ってねえ!」


エリナ「あれ、そうだっけ?まあ、男が細かい事を気にしない!」


 なんじゃそりゃ!理不尽にもほどがあるだろ・・・。

 こいつ、自分が俺にブログをやれって言ったことも忘れてんじゃねーの?


団長「まあまあ、ダーク君は日記に関しては才能があると思うよ」


アッキー「日記の才能wwwヤバイwww」


ダーク「そんな才能いらないから!」


団長「大丈夫だよダーク君。君には才能がある!僕が保証する!君は日記のスペシャリストだ!」


アッキー「ス・ペ。シャ・リ・ス・ト!やばい!めっちゃ受ける!」


 くっそー、この二人調子に乗ってるな。言いたい放題いいやがって・・・。

 でもこいつらは忘れてるんだ。

 このギルドホームページの日記が、


「ギルドメンバーで持ち回りで書く」という事を!


 こうなったら次のハードルをめちゃくちゃ上げてやるぜ!



ダーク「わかりました」


団長「ん?」


ダーク「そこまで言うなら、次回の皆さんの日記、凄く楽しみにしてます」


団長「・・・え・・・」


アッキー「・・・え・・・」


ヒイロ「私何も言ってないから」


千隼「私もー」


エリナ「私は自分のブログあるから!」


団長「・・・え・・・」


アッキー「・・・え・・・」


ダーク「そういうわけで、団長とアッキーさん、次回の日記凄く楽しみにしてますね^^」


団長&アッキー「えええええええええっ!」

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