第8話 こいつ今、何て言ったの?
俺にとっての初めてのオフ会が終わろうとしていた。色々あったけど、来て良かったと思えるオフ会だった。
どうやら他の皆は、これから団長行きつけのネットカフェへ行くらしい。さすがに俺は時間も時間なので、残念ながらここでお別れだ。
ま、なんだかんだあったけど、ギルドの皆にも直接会えたし、姉貴、里奈とのわだかまりみたいなもんも一応解決したしな。あいつはネカフェに皆と一緒に行くつもりらしい。
団長には、今から帰ってすぐゲームにログインすれば、一緒にプレイできるんじゃない?とは言われたんけどね。けど、エリナ=里奈と判明したばっかだしな。ゲームの中でどうやって里奈と接すればいいのかわかんねーよ。なので俺は、
「ちょっと疲れたんで今日は風呂入って寝ますわ」
と、今回は言っておいた。とりあえず、ネットの無料通話が出来るスカイポをダウンロードしとこうと思う。
「えー?
俺がそんな事を考えていると、
「あまり夜遅いと怒られるので」
と、相変わらず淡々と答える燈色。
「そっかあ、残念・・・・」
と、本当に残念そうにしている千隼さんだ。いやマジすげえよこの人。俺のことを笑う時以外は、ほとんど能面のような表情を崩さない燈色の事をこれだけ気にかけられるなんて!
そういえば燈色のやつ、自己紹介終わった後は、とうとう最後までほとんど一人でスマホいじってたな。最初は団長が、その後は時々千隼さんが声をかけていたけどほとんど一人だったよな。
考えてみれば、俺がカラオケ屋に入った時も一人でスマホいじってたし、その後もほとんど一人だった。そもそも、人付き合いが得意には見えないし、好きそうにも見えない。ホント、なんで今日のオフ会に来たんだろうか?
俺がソッポ向かれたのを根に持ってるから印象が悪いとか、そういうのじゃ決してないよ?
「あーそうだ。黒部君、燈色ちゃんと駅は一緒みたいだから、ちゃんと送ってあげてね?」
燈色の事をあれこれ考えていたら、団長から燈色当人を送っていけと言われた。
「えっ?」
やべ、つい口に出しちゃった。てかまじですか・・・。あいつと駅まで何話せっつーの・・・。ん~、まあ駅までだし、どうにでもなるか。
「じゃ、俺らはこれで」
俺はみんなに挨拶し、駅へと足を向かわせた。
「じゃあねダーク」
姉貴が俺にニコッと笑いながら
「あ、う、うん」
俺はというと、すげえどもってしまった。あんな何でもない顔して挨拶とか急に出来るか!家に帰ったら、不自然すぎるとか言って姉貴にすげえ文句言われる光景が目に浮かぶぜ・・・。
「ダーク君、燈色ちゃんが可愛いからって襲ったりしちゃだめよ~~」
ぎゃああああああああ!
あと、千隼さんがオレのこと「え?大丈夫なの?」みたいな顔ですげえ心配そうに見てるんだけど。いやいや、俺そんな事しませんから!くそー、千隼さんの俺に対する印象が悪くなってしまうじゃないか!
なので、俺はそそくさとその場を去ることにした。全くなんて一日だよ・・・。
さて、ここから駅まではほぼ一本道だ。8時を回ってるとはいえ、繁華街近くなので人通りもそこそこある。俺は駅までの道のりを、燈色との楽しいお喋しゃべりに費ついやしていた。
「ヒイロちゃんて可愛いよね。もてるでしょ?」
「セクハラですか?」
「ヒイロチャンて、洋服センスいいよね」
「え?もしかしてこういうご趣味が?キモいです」
「ヒイロちゃんて、いつからゲームやってるの?」
「その質問に何か意味はあるんですか?」
うっがあああああああああああああああああああああああああああああああ!さっきから全部この調子だぜ!
そもそも、俺なんかと口も聞きたくありませんオーラがビンビンなんだよ。あ!もしかしてあれか?さっきの明海さんの言葉で警戒されてんの俺!?いや、こいつにどう思われようが別にどうでもいいけどね。
あれだ。俺に関心が全く無い奴と無理に会話する必要もないな。なので、話す必要無し!こいつを駅まで送るという、必要最低限の義務さえ果たせればそれでOKだ。
と、勝手に俺がぷんすかしていると、
「あの、ちょっと聞いてもいいですか?」
と、ヒイロの方から質問してきた。
この女は、俺からの質問には答えないくせに、自分からの質問はOKですか?
「え?あ、まあ、俺に答えられることならいいけど」
どうせ大した質問じゃないだろうけど、ちゃんと答えてやろう。俺とおまえの
「エリナさんと黒を征する者ダークさんが姉弟って事を、ギルドの皆に言わなくていいんですか?」
「誰が黒を征する者だああぁぁぁぁ・・・・・・・・・は?」
はあああああああああああああああああああああああああああ!?
こいつ・・・今なんて言った?
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