純愛に酔う少女。古い時代からそれは「死」と距離の近い情念だったのだと思う。狂気と表現する事は簡単だけれど、連作短編である本作には、なにかもっと奥深いものを感じた。少女は体の内側に地獄を内包している。男は結局、地獄から彷徨いでた亡者でしかないのかもしれない。