第5話 まるとあそぶ

よくあるねこじゃらし。

シンプルにプラスチックの棒に白いふさふさのついたものである。

じゃらしをまるの前へ置く。


『なんだこれ?』


という顔をする、まる。

じゃらしの棒を持ち、ゆっくりと目の前でゆらゆらさせてみる、がなんだこれな表情を変えない。

なので、テーブルの脚の影に隠し、ちらちらと見せる。


『えええ、そりゃあ狩るしかあるめぇよ』


とおしりをふりふりとさせ、飛びかかる準備をする、まる。

そのあと、まるはテーブルの脚に顔面をドーンとぶつける。

いかんせん、かなりどんくさい。

またテーブルの脚にドーンではたまらんので、カーペットの端のところにじゃらしを沿わせるようにする。

少し見えるような見えないようなチラ見せ。

これがねこをじゃらすには大事な秘訣である。

案の定、これが大成功で、ずっと追いかけていく。


三ヶ月ごろから、まるはほぼ居間もしくは事務所で過ごすようになった。

寝るときだけわたしと一緒である。

なので、来客が来ても動じないし、逆にお客様のかばんが倒れてたらそこに寝るという技を習得。堂々としたものだ。

宅急便なんかきたときには、人よりも先にお出迎えする。

ついでにハンコにくきゅうも押してくれたら便利なのになぁ。


とまあ、人に囲まれて毎日まるは過ごすことになった。

ちなみにシロちゃんは恋人のオス猫とラブラブで、まるについてはなかったことになってるらしかった。

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