第3話 育児放棄

水を手でまるにあげた日以来、シロちゃんはたまに見に来て、その時にちょっとだけおっぱいをあげるだけになった。

生まれてから二週間、あれだけまるまると太っていたまるが、だんだん痩せこけていった。たまにシロちゃんを抱っこしてまるの箱にいれるものの、3分ぐらいで出てきてしまう。

なのでわたしは見るに見かねて、まるを箱から取り出す。


軽い。


紙のような軽さのまるを抱っこして、今までの水じゃなく猫用のミルクを与えることにした。母親には一回匂いのついた食べ物を子猫に与えると、ずっと面倒を見なくなるよ、と言われていたけど、それも覚悟した。

ミルクを片手で準備している最中、まるの体から生命力がさらさらと流れていてしまう気がしてものすごく焦って準備した。

それほどまるはガリガリで軽かった。

水を与えていたスポイトにミルクを吸って、まるの口に近づける。

舌をわずかに動かして、まるはミルクを舐める。


いきなり大量に飲むわけじゃないけど、まるが満足するだけ飲ませ、タオルにくるんで体温が下がらないようにする。梅雨もあけ暑くはなってきているけど、当たる風は冷たいし、体温も自分と変わらないぐらいだったので、念の為に。


それからはずっとわたしがまるのミルク飲ませ係になった。

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