夢を叶えない叶えられない少年の話

「僕には、夢があるんですよ。会社を立てるつもりなんです。

でも、具体的に何をするとか、無いんですよ。

ただ、中学生の時にネットで知り合った二つ上の年齢の男の人と、アニメの仕事がしたいだけです。

というか、その人の夢を叶えたいだけなんですよ。親に反対され、アニメーションの道ではなく、公務員の道を押し付けられて、いやいや勉強している哀れな男性。

その人のアニメの技術は凄いですよ。キャラクターの重心は崩れないし、ちからを貯めて放つ描写も、筋肉の構造を知っていないとできない技です。その人のカメラワークと言いますか、視点をずらして、パラパラ漫画の要領で描くアニメには、感動させられました。感服、脱帽、そんな状態です。

まあ、臨時公務員、いわゆるパート公務員が無かった時代の話でしたから親も勧めたのでしょうが。あの男性の努力は何とやら。男性が大学三年生になろうという時に、臨時公務員がふつうになりました。

あの男性は既に夢を諦めたのでしょうし、……僕も新しい夢を探します」

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