喫茶店の与太噺
登月才媛(ノボリツキ サキ)
いじめに無力な小学生の女の子の話
「ここさ、うちの知ってる場所のどこよりも落ちつくからさ、独り言、言うけど、気にしなくっていいからね?
うち、もう自分の家族は偽物の家族じゃないかって思うと。うちが養子で、家族が引き取り手。
両親は顔を突き合わせるとケンカばっかりでさ。お母さんのお友達に、そんなこと言っても、ケンカするほど仲がいいってさ、言うとよ。そんなレベルの会話の内容じゃないもん。
でさ、何でこんな話かっていうと。うーんと……うち、帰るとこ無いと。
小学校で、いじめっていうとかいな。廊下で馬鹿とか言われるの、いじめになるとよね。それでさ、先生にも怒られるし、
家帰って、学校の話しても、何でうまく人間関係立ち回れないのとか。言われてさ、殴られてさ、それで泣いたら、泣くなって言われるとって。ご近所迷惑だから、って。蹴られるの。
それでさ、うち、この喫茶店以外では泣かんとよ。偉いやろう?……ホントは泣きたいとや。
ガッコでも、家でも。でさあ、泣かんかったらさあ、言われたと。
ブスな人形って。ふつう傷つ……しくった、今の忘れとって。あなたなら傷付くやろう?
うち、この喫茶店で話せる分、幸せとね。
うちってさ、小学生やろ?何かと幼いって馬鹿にされるとよ。それで、ホントの話したら、びっくりされると。そんなに想像力があるとね、って。
傷付いて帰る場所ないとに。こんなど田舎でさ、いじめがあるとやけん、ニュースで自殺するような子の何倍も、いじめられとう人がいるとよね。そんな子なら、うちの気持ちも分かるかもしれん。いっそ、誰かに殺してほしいうちの気持ちも。
うちなんてこんな世界に生まれてこなきゃ良かったとよ。
だって、小学生の辛さ叫んどったって、誰も取り合ってくれないでしょ?」
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