「お悩み! 各個撃破」のコーナー
「ネネフミの」
「絨毯爆撃!」
「お悩み! 各個撃破!」
という望月さんのかっこいいジングルと戦闘機の音が入り水野Dのキューが入り、日野さんのコーナー紹介。
「こちらは日常で困っているけど、他の番組に送るには些細すぎる悩みを受け付けております」
「そして相方と一緒に解決していくことを目標にしています」
「ただし、あたしと文でも解決できないこともありますので、ご了承ください」
まったく謝る気のないニュアンスで言う日野さん。そもそも解決せずに放棄することもありますからね。
「大人気コーナーです」
「次のコーナーより採用率が高いのでじゃんじゃん送ってくださいね」
お便り一枚を一分位で撃ち落としていきますからね。
選んでいたお便りから一枚を望月さんに渡す。
「では一通目望月から読みます。
爆撃機『背中を触られていると思ったら自分の髪だった』さんから。
『シャンプーとリンスとボディソープも間違えます。どうしましょう』」
「わかる」
「それな」
おふたりとも経験があるようです。僕もですが。
「相方はどうしてる?」
「文ちゃんは間違って出しちゃったら洗い流さないでそのまま使う」
「えっ、ボディソープ頭にかけても効果なくない?」
「えっとね、ボディソープ出しちゃったら、その上にシャンプーとかリンスとか出して洗う。頭皮も洗えて一石二鳥よ」
「もう髪洗う時全部かけろ」
「たまにやってるよ。時間ないとき」
「どんだけお前時間ないんだよ」
望月さんそれだと体が洗えないので、時間短縮になってないんじゃ……。
「だって、惑星イプシロンのみんなが待ってるんだよ」
「ネトゲかよ」
その単語で、望月さんがやっているネットゲームだと分かる日野さんもさすが。
「ソシャゲのライフがもうちょっとで回復するなら溢れる前に風呂上がるでしょ」
「そうね」
日野さんは某アイドルソーシャルゲームにハマっております。声優さんってソシャゲ好きな人多いですよね。
「シャンプーといえば、最近美容院に行ったときに髪を洗ってもらったのよ」
望月さんがまた話を飛ばしました……頃合いを見て止めます。
「そりゃ、洗ってもらうでしょ。安い床屋じゃないんだし」
「その時にシャワーが温くてさ、痒いところはないか聞いてくれるのにシャワーの温度がちょうどいいかどうかは聞いてくれないのよね~」
「あたしの通ってるところは聞いてくれるよ? 美容師さんにもよるんじゃない?」
「そっちの美容師さんのほうがコミュニティ能力が高いよね」
「美容師さんってみんなコミュニティ能力高そう」
美容院の話題は次のコーナーに影響でるかも。
「なに? 次のメール?」
急かすようにメールを日野さんに渡します。
「『ネネフミのお嬢様方、ごきげんうるわしゅう。
『秋葉原電波放送局』はその名の通り、秋葉原にありますが、秋葉原でおすすめの料理やレストラン、カフェなどはありますか?』
爆撃機ネーム『レッツゴーアキバ』さんから頂きました」
「最近お気に入りのメイドカフェがあってね」
「メイドカフェ行くの? 誰かと?」
「ひとりで」
「ひとりでかよ!」
「メイドカフェって名ばかりで料理がすごいおいしいの。名前は……忘れたけど」
「それじゃ意味ないじゃない」
放送聞いた人もそれじゃ調べようがないですね。
「場所は覚えてるから、今度行った時は名前覚えてくるね」
ホントに覚えて次の収録に来れるのか怪しいものです。この話題ですら覚えていられるのでしょうか……。
同じことを思ったのか日野さんは、
「場所言えば良いんじゃない? 秋葉原駅からの道のりとか」
僕もタブレットの地図を起動して調べてみましょう。
「駅出て、EXカフェのあるとこ曲がって、信号渡って、古い電気屋のとこ曲がって、黄色い看板の電気屋のとこ曲がって、すぐにあるビルの七階」
「ごめん、さっぱりわからない」
日野さん同様、僕も首を振ります。どういう道の覚え方をしているのでしょう。
「相方はある?」
「イベント出演以外じゃ秋葉原を歩いたりしないから……。食べてもカレーとか?」
「カレーのお店多いよねこの街」
駅の中にあったり、隣のビルにも、駅の向かいのゲーセンの隣もそうです。
グルメ系の雑誌で、秋葉原のカレーが特集として組まれるほど有名になりました。
「次に多いのはラーメンね」
「それ以外だと、神田の方面に行けばいろいろお店あるよね」
「万世橋?」
「そうそう! 秋葉原とは思えないおしゃれな場所よね」
中央線の線路の下、神田川を眺めながら食事をしたり、お茶したりできる場所があります。電気街の印象が強いですが、グルメスポットでもあるのかもしれませんね。
「どこかおいしい場所を見つけたら報告してください! では次―」
綺麗にまとめた(?)望月さんに次のお便りを渡します。
「爆撃機ネーム『酒が飲めない鬼』さんからいただきました。
『音々さん、文さんこんばんは。
友達に小さいころに借りてそのままだったゲームが引っ越しの際に発掘されてしまいました。どうすればよいですようか?』」
「あたしなんて、マネージャーにタクシー代借りたまま返せてないよ」
「返そうよ。いくらか知らないけど。っていうかなんで借りたの?」
「その日電車のカードしか持ってなくて……たくさんチャージしてあったからコンビニで買物も困らないし」
今日も財布を忘れたって言ってましたね。
そのせいで遅れたとか言い訳になりませんが。
「仲が良い間柄なら、これを口実に飲みに誘ってそのときに返せばいいのよ」
「んじゃ、仲があまり良くなかったら?」
「……郵送するとか?」
「小さい頃に借りたゲームってことは今動かない機種の可能性もあるでしょ?
そんなの郵送されたって迷惑になっちゃうかもしれないじゃない?」
「だ、大丈夫よ、そのソフトプレミアついてるから」
「何を根拠に?」
「古いゲームって結構プレミア付いてるのあるでしょ?」
ものによりますね。ヒット作だと箱と説明書がついてないとまともな金額で買い取ってもらえなかったります。
「アキバでいくらになるか査定してもらったり、ネットで調べたりしてから考えてみるのも良いんじゃない?」
「お金のことばっかり」
「お金は重要よ!」
財布を忘れた人が言うと『謎の説得力』を感じますね。
そんな日野さんに次のお便りを渡します。
「次、爆撃機ネーム『元ぼっち部部長』さんから」
「元?」
「『友だちが少ない僕ですが、ついに友人たちが家に来ることになりました。
どうやっておもてなしすればいいでしょう? 盛り上がる方法を教えて下さい』
文はある?」
「人生○ーム」
「マジで?」
「ゲーム機じゃなくて、ボードゲームでやるのおすすめ。
この方の歳が分からないけど、多分歳とか関係なしに盛り上がる。大人だったらお酒入れるとより盛り上がる」
「それって判断力鈍って負けそうなんだけど」
「判断力鈍るから面白くなるの! 勢いで投資して失敗するとか、勢いで結婚できて人生大逆転とか」
「……ゲームの話だよね?」
「ゲームの話」
「えっと、音々のおすすめの方法はやっぱり酒。できるだけ高いやつ。地酒とか仕入れるとその地域の話で世間話が広がるからおすすめ」
「お酒飲めなかったらどうするの?」
「そうしたらお菓子かな。これも地方限定ものとかおみやげとか、そういうのにすると盛り上がるのよね。妥当な方法だけどね」
「お菓子できのこたけのこ戦争起こったらどうするの?」
「そうしたら戦争すればいいじゃない」
ここだけ聞くとものすごく物騒な発言ですね。
「最近ネットだと若い人たちは飲みニケーションを避けるって聞いたんだけど、この場合もそうならない?」
「じゃあ文はあたしとか番組の、アニメの打ち上げでもいいや、そういう場所で飲んでて楽しい?」
「めっちゃ楽しい」
「じゃあ、OL時代の飲み会はどうだった?」
「酔ったフリして寝てた」
「そういうこと。
飲みニケーションが嫌われてるんじゃなくて、『嫌いな奴と飲む酒がまずい』。
『若者の酒離れ』なんて言うけどね。嫌なやつと飲む安い酒がうまいわけない!
仲のいいやつと飲む酒は安くてもおいしいものなの!
ま、あたしんちに来たらあたしのカクテルが出るから、安い酒を飲ませるなんてこと絶対にさせないわ!」
ふつおたでも話題になった日野さんの趣味は酒とバイク。
バイクも結構いいものに乗ってると聞きますし、カクテル作るのが趣味なんて人なかなかいないです。いい趣味してますよ。
そんなことを思いながら望月さんに次のメールを渡します。
「次―。爆撃機ネーム『日本国内の領土問題をどうにかしてほしい』さんから。
政治活動デモしているの?
『みんな町田を東京都だと思ってくれません。どうすればいいでしょうか?』」
「あ、領土問題ってそういうこと」
僕や日野さんが思っていたようなデリケートな話題じゃないんですね。ツイッターでは町田の話題は、富士山は静岡か山梨のどちらかで揉めるレベルの問題ですね。
「町田って神奈川県じゃないの?」
「おい望月文」
ここにも居ましたね。そういう人。早速タブレットで地図検索です。
「え、だって町田って、鎌倉から北に行くとある場所でしょ。っていうか多摩川から西って全部神奈川県だと思ってた」
「他の市の人にも謝れ」
町田の周辺を表示させたのでおふたりに渡します。
「作家さんからタブレットが渡されました、お聞きの皆さんもパソコンやスマホで町田市を検索してみましょう!」
「あるぇ~、ここまで全部東京都だ!」
「でしょう? いい? 名古屋県や仙台県はないのよ」
「それくらいわかってるよー」
とほっぺをふくらませる望月さんですが、リスナーには伝わりませんって。
日野さんの持ってたタブレットとお便りを交換。
「はい、次のお便り。
爆撃機ネーム『悲報館』さから頂きました。悲報は、悲しいお知らせの悲報です。
『友達が、熱海が神奈川県だと誤解していました。静岡県民として許されざる行為です。どう断罪しましょう?』
似たような話題ですが、これは静岡が悪い」
「「ええー!?」」
日野さんのまさかの回答に僕も声をあげます。
「だって、静岡の交通ICカードって熱海じゃ使えなかったんだよ?」
「そうなの?」
「えっとね」
日野さんが取り出したのはパスケース。
一枚は都内で使われてる緑色のやつなのはすぐに分かりますが、白地に青い波が入ったようなデザインのカードも出てきます。
「今はJR全線どれも使えるし、用途は変わらないんだけど、静岡の実家帰ると緑のほう使えなくて、東京戻ると青い方使えなかったのよ。
まあ今でも区間が違ってて、熱海の横の『函南』は東海の区間、熱海から東は東日本の区間で分かれてるから、いちいち切符買わないと改札機で弾かれるのよー。
つまり! 熱海は静岡県じゃなかったのよ!」
人類滅亡を予言するような口調で言う日野さん。な、なんだってー。
「というわけで、この件は『仕方ないね』ということになります。静岡県民ですらフォローできません」
「残念でしたー」
ホントに残念ですね。次のお便りを望月さんに、
「爆撃機ネーム『遭難したエイリアン』さんから。
『UFOって何の略なんでしょうか?』」
「うまい・ふとい・おおきい」
「それはカップ麺」
よく知ってますね望月さん。
「で、正確にはなんていうのマーズくん」
そっちは知ってるのに本当のUFOが分からないんですか。すぐにタブレットで調べます。
「あんなんでんでんふぁいと・ふらいんぐ・おべじぇくと?」
「ちょっとマーズ、カタカナで書いてよ」
これくらい読んで欲しいです。読み方を打ち込み、ふたりに見せます。
「アンアイデンティファイド・フライング・オブジェクト。
日本語にすると未確認飛行物体」
「じゃあ、あの円盤じゃない形しててもUFOってことなの?」
うなずきます。
「へー。文はUFO見たことある? あるいは宇宙人に拉致されたとか」
「ないわね。テレビのUFO特集とかすごい好きなんだけど」
「あー、あんた見てそう」
「特に毎年年末のは必ずチェックしてるわ。『月刊○ー』だって購読してるもの」
「なにそれ」
「オカルト雑誌よ! この前声優も出てたわよ」
「さっきの妖怪の話といい、世の中色んな物があるのね……」
と、あなたの知らない世界を見た日野さんに次のお便りを渡します。
「ラジオネーム『時をかける会社員(三十歳、彼女募集中)』さんから。
『三色ボールペンの黒がでなくなったので、青を使おうとしたらそれもでなくなる現象の対策が知りたいです』」
「三色ボールペンって使いにくくない?」
「そうかしら?」
望月さんの台本の上には黒と赤のボールペンが一本ずつ。対して日野さんは話題の三色ボールペンがあります。
「わたしは、書きづらいっていうか構造上芯がゆるゆるになっちゃうのが嫌で使わないのよね」
「いつもアフレコには胸ポケットある服でやってきて、ボールペン三色刺さってるもんね。それってそういう理由だったんだ」
「そういう相方は愛用してるわね。黒とか一色がでなくなったらどうしてるの?」
「もう一本ある。んで、一色使えなくなったのは家で使ってる」
そう言って筆箱からもう一本三色ボールペンが出てきます。
「なるほど。って同じ奴じゃない。買いだめでもしてるの?」
「家の近くの百均で買ってる。一回買うときは五本くらいまとめて買ってるもんで、店員さんからは多分『妖怪三色ボールペン』って呼ばれてると思う」
「何その妖怪。百均行って買うのがボールペンだけってことはないでしょう」
「他には買わない」
「さすが『妖怪三色ボールペン』ね……」
「そういう文は百均で何買うの?」
「んーっと『黒い稲妻』とか『ヤンキードーナッツ』とか『うめぇ棒』とか」
「子供! 中二病の弊害?」
「ちゅ、中二病だったら逆に子供っぽいの嫌うでしょ! これは……だ、駄菓子を題材にした漫画あって、その影響!」
リスナーにもテンパり具合が伝わりそうな声で望月さんがごまかしますが、これは漫画関係なしに好きな感じですね。
「終わり終わり、以上『お悩み! 各個撃破!』のコーナーでした!」
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