第73話
「で?あんたいくらウチのバカ弟が連絡入れたからって迎えに来るようなタマ?」
「お前はトクベツだからね。」
「それを本気で言っているなら、私はあんたを軽蔑するわよ、拓真。」
本気で怒りをぶつけている私に対して、拓真も真剣な顔をする。
「俺は本気だよ。つぐ。」
拓真の真剣な顔は、心臓に悪い。
「本気で怒るわよ。」
「怒ればいい。全部受け止めてやる。」
「歯あ食いしばれ、拓真。」
私は本気で右手を振りかざして拓真の頬を打つ。綺麗な平手打ちは綺麗な音が鳴る。怒りのあまり私の息は上がる。
「私をなめないで。見損なうわ、拓真。」
拓真は恐ろしいほど冷たい笑顔を浮かべる。
「構わないさ。お前が俺が郁のことを引きずってると思ってる限り。俺の本気がお前に理解できるまではな。」
「そんな日は一生来ないわ。」
私にはにこりとも笑う余裕はない。いつの間にか主導権が拓真に移動しているのに気づいて腹立たしくてたまらない。
「今日もうちに寄ってけよ?」
「いやよ。」
いつの間にか追うものと追われるものが逆転してる。
拓真は余裕そうに冷たい笑みを浮かべている。
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