不思議巫女 響子 ②
――全国から集まってきた少女たちは七人でした。
彼女たちは、生まれつき強い霊力の持ち主たちで、『
しかし未成年の子どもたちがある日突然家出したのだから、その親もマスコミも世間だって黙っていません。
連日、子どもの親たちが『轟神社』へ押しかけてきます。
警察を
その
もちろん、少女巫女たちは黙して何も語りませんが……。
こういう事件が続いて、さすがに響子も怒りました。
少女巫女たちを集め、全員で円陣を組むと、その中央で響子は両手をあわせて八指まで掌中に入れ、残る二指をつき合わせて、
その瞬間『轟神社』には、強い結界が張られました。
しかしながら、邪心のない者や響子に用事で訪れる人々には、ちゃんと『轟神社』が見えて、その場所に行けるのだからとっても不思議、不思議!
そして『轟神社』では、響子の元で少女巫女たちは修業を始めました。
どんな修業をしているのかは、誰も入れないので謎のままですが、やがて
やがて『轟神社』と響子たちのことは、世間から忘れ去られていきました。
――数年後のある日。
地方都市のある地域で、いきなりテレビやラジオの電源が一斉につきました。電源をOFFにしていたテレビまで勝手に映ったのです。
テレビの画面には美しい巫女が映っていました。彼女の背後には七人の巫女が
「OOO地方の皆さん、今から三時間後に震度8の地震がきます。海岸部では大きな津波が発生します。貴重品やペットを連れて、高台や避難所に緊急避難してください!」
テレビを見ていた者は驚いた。彼女たちは一時マスコミで騒がれていた『轟神社』の巫女たちではないか。
地震がくるって……本当だろうか?
「これは『轟神社』からのお告げです。三時間後に必ずOOO地方に震度8の地震がきます。今すぐ避難の準備をして安全な場所へ逃げてください!」
そう繰り返して言うとテレビは勝手にプツンと切れた。電源がONだったテレビも切れてしまった。――その地域の住民は悩んだ。
嘘か、本当か? この放送を信じてもいいのだろうか? 各市町村に問い合わせの電話が殺到したが、担当者は対応しきれない。
その内の何パーセントかの人々はテレビに映った、不思議な巫女の言葉を信じて「地震が来なくても、ダメ元でもいいから……」と避難を始めた。
あの未曾有の大地震『東北地方太平洋沖地震』がまだ記憶に新しく、あの惨劇を皆は覚えていたからだ。
果して、ピッタリ三時間後にOOO地方に震度8の大地震がきた。海岸部では大きな津波も起こった。
本来なら甚大な被害をもたらすレベルの地震だったが、あの放送を見た、かなりの人々が事前に避難していたので、建造物の倒壊や津波の規模の割には、死亡者は非常に少なかったのである。
家や建物が壊れても、命さえあればまたやり直せる。人々は助かったことを感謝して、復興に向けてまた頑張ろうと誓い合った。
地震予知放送を流した『轟神社』が再び日本中の脚光を浴びた。
響子たち『轟神社』の巫女たちは厳しい修業で、より霊力を高めて、地震を段々と早い段階で予知出来るようになっていたのである。
『響子の巫女人形』は地震のお守りとして大ヒット、
これら巫女グッズの肖像権やパテント料はすべて被災地の復興支援金にまわされた。
その後も震度6以上の地震が起きる度に『轟神社』のお告げ放送が、その地域で流されるようになった。
人々は響子のお告げを信じて、速やかに避難するようになって、地震による死亡者の人数が激減したのだ。
「これも響子さまのお陰だ! ありがたや『
――遂に響子は地震国日本の守り神となった。
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果して、この響子という人物は何者なのでしょうか?
考えるに『東北地方太平洋沖地震』では多くの家が倒壊したり、津波で流されましたが、あれらの家には人やペット以外、誰も住んでいないと……皆さんはお思いですか?
東北地方の古い屋敷には、昔から棲みついていますよね。
おかっぱ頭の可愛らしい子どもが、そう名前は『
皆さんは気付いていないでしょう?
実は彼女たちも地震で家を失って、棲むところをなくしまった、立派な被災者なんですよ。
その座敷わらしたちの霊力が結集して生まれ変ったのが、響子だったのです。
『轟神社』に棲みついた、最強の座敷わらし響子。
彼女と少女巫女七人は、地震から日本を守るために、今日も厳しい修業をしています。
がんばろう! 日本
- 終わり -
※ この作品は震災のあった年に書きました。
「がんばろう! 日本」という趣旨で、被災者の皆さんを励ますための作品でした。
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