■『シルバーボトム』王家"バウス"と国の風潮
【国王"ゲンナージ"】
崩落の際に一度王家の血が絶えたのちに、復興の主導者を新たに王に据え
代々続いてきた種族:人間の家柄こそが
今のシルバーボトム王家たる"バウス家"である。
現在は齢55歳の国王である"ゲンナージ=バウス"、の主導のもと政が行われている。
王子"マクゲニー=バウス"と王女"エカテリーナ=バウス"の二人の子供がおり
本来傍らにいるはずの王妃は過去に亡くなっている。
【蔓延った風潮】
復興により生活が戻り始め、人々に"余裕"が生まれたであろう頃より、
寒さが厳しい風土の中で自然発生した風潮が存在した。
それは"実績、実力、能力の至上主義"というもの。
多くのシェアを奪いのし上がった商人、高い能力を持った魔法使い、
数世代前の復興に携わった後継者たる貴族など。
一度昇りつめた者は自身が再びあの寒い元へ戻るのを拒み下々の者を差別し始める。
それを受けまた平民もさらに自分より下の者を差別するようになる
負のスパイラルが完成した。
それでもとある暗君がこの国に登場するまではまだ優しかったであろう。
今では街で行き場を無くした者へ手を出すものは殆どおらず、
さらに上流層から平民層の差別意識や相互のわだかまりは広がった。
【影を落とした暗君】
現国王"ゲンナージ=バウス"の前任でありその父親であった"グリゴリ―=バウス"、
国王として国を治めたその期間で、彼は様々な暗い影を国へと落とすことになる。
王となった彼は自身の贅沢のために、上流層以外の民衆から財を搾り取った。
これにより上流層の選民思想はより強まる結果に。
自身へと反発する民は投獄し見せしめとして処刑を行った事も多々ある。
今までは人々の危機意識から手を出さずその場で殺されていた蛮族を、
捕らえ奴隷やあげく玩具がごとく扱い始めたのも彼が始まり。
【負の遺産】
そしてグリゴリ―王一番の負の遺産と言えるのが
"不要な人間を有効活用するため実験材料にしていた"ことである。
彼は自身の力をより誇示するため、禁じられた魔法に触れるために
"邪法"の研究者や"魔神使い"を中心とした組織を秘密裏に作り出す。
スラム街の者を暗殺部隊に攫わせ、投獄された者と共に
研究者たちに実験材料として渡す引き換えにその成果を享受していた。
【暗君の終わり】
王子としてのゲンナージが20歳の時、父王グリゴリ―の暴挙に憤りや
不満を抱いていた彼は自身の下にグリゴリ―王を討つためのレジスタンスを組織し、
城内での大きな戦闘が起こった。
結果はゲンナージ王子の勝利に終わる。
その行動を多くの民衆称えられ国王として代変わりしたゲンナージは
暗殺部隊や邪法研究者、魔神使いなどの裏組織を全て解体、国民に実態を知られぬそのまま全てを闇へと葬った。
その後も蔓延った不安や悪しき風潮を改善しようと政治を取り仕切っていた
彼であったが、差別意識の大きな元であろう上流層を糾弾することは無かったのだ。
その理由は定かではないが、上流層の大半はいまだにわだかまりを
拡大させ続けている。だが一部の人間はその高圧的な姿に、なんともいいがたい雰囲気を感じるそうだ。
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