第12話 怪談!神棚の女
大好きなB子へ。
メールを送ろうか、どうしようか、迷っていたけれど・・・
風邪をひいたって、きいて・・・
心配だから書きました。
これから書くこと、びっくりしないでね。
先週土曜日に、Aさん宅にいったとき、神棚があったよね。
とっくに気がついていると思うけど、私、霊感がちょっと強いのね。
Aさんの家に入ったとき、気がついたでしょ。
肉の腐った臭いが、部屋いっぱいひろがっていて・・・
すごく気分が悪くなったの。
そう、肉の腐った臭い。
肉が内側から腐って、干からびたような臭い。
瘡蓋(かさぶた)を、もっと強くしたようないやな臭い。
亡くなった祖父が、死ぬ数週間前もこんな臭いがしてた。
こういうのを、死臭っていうのかな。
その肉の腐った臭いって、Aさんの神棚から臭ってくるの。
そう、あの神棚。
居間に入った時、人の気配と視線を感じて、振り向いたの。
すると、神棚から、女の人がそうっと覗いていた。
じっと、私達のことを見ていた。
長い、長い黒髪の若い女の人。
青白くて、指が細くて、長くて・・・
長い間、病に臥しているみたいだった。
肺の病気かな。
多分、この世の人ではないと思う。
幽霊っていうのかな。
あの神棚に、住んでいるみたい。
だからね・・・
Aさんに、どうして神棚を置いているのって聞いたの。
だって、Aさん、特に信仰心が篤いっていう人じゃないし。
そうしたら、Aさん、「おしゃれでしょ?」っていうのね。
ネットオークションで、インテリアとして、買ったんだって。
お水や供物は、あげたことないって。
それをきいて、おせっかいだけど、よくないなと思ったの。
Aさんの住んでいるマンションって、昔は、無縁仏の墓場だったのね。
どうやって、神棚を祀るのか、私は全然知らない。
でも、近所の神主さんがとっても、親切だから、聞いてみるね。
あれから、Aさんと全然、連絡がとれなくって。
Aさんのこと、何かわかったらすぐ教えてね。
本当に、本当に怖がらないでね。
ただ、ちょっと気になっただけだから。
私のこと、いつも優しくしてくれて、ありがとう。
何か、できることあったら、いってね。
<おしまい>
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