歪んだ座標軸～近親姦サバイバー～

奇跡

　　奇跡

岐阜から犬たちと共に東京に帰ってすぐに早速教授から教えて貰ったホメオパシーと鍼治療の先生の所で治療させました。しかし、ホメオパシーと言う治療に対して、私自身が馴染めず、又その病院の治療が高額だった為、電話でもう一度岐阜の教授に相談し、別の病院を紹介していただきました。

犬たちを鍼治療に通わせる傍ら、私は父との事を何度も考え始めていた。

「憎しみ」と言う感情が溶けていき、何だか自分の人生を振り返った時、「悲しみ」の感情の方が強くなっていった。母との関わりの十一年間を考えた時、父がその後おかしくなって行ったのはあの手術がキッカケではないか？そんな風にうすらぼんやり思いがよぎる事もあった。そう思うと何ともやり切れない感情に見舞われました。しかし、父と共に暮らしているであろう佳代さんに何というのか？今更私が父に連絡をとったとしてもこんなに長きに渡り私が姿を消した理由をどう説明するのか？そう考えると私は実家に電話すらかけられないでいました。

私の憎しみの感情がどんどん変化するのと比例するように犬たちにも変化が見られた。

上の子の食べるご飯は１００％私の作る手作り食に出来ていませんでした。二年半かかってようやく処方食の缶詰と半々で食べさせていた。膵炎は消化にまつわる病気ですから、食べなれたものを変えるのに苦労していました。しかし、岐阜の教授からこの子はもう完全に１００％手作りで大丈夫です。と言われた事から処方食を断ち切ったのです。すると、大量の血下痢を出してしまい、私は慌てて写真を撮り、その画像を東京の大学病院の副院長にメール送信して相談しました。下の子の処方ミスがあった病院ですから何かと配慮していただいていたせいか？緊急で内視鏡検査を受ける事が出来ました。

急いで連れていき、出てきた結果は驚きのものでした。

「どうしてあんなものが出てきたのか説明がつかない。大腸は長年の下痢に苦しんできたものとは思えない程丈夫で綺麗。血下痢を出した痕跡すらない。上からも下からもくまなく検査したけれど。。。

これは、立場上言いたくはないのですが、あえて言うなら腸が脱皮したとしか言いようがない。。念のため血液検査もしておきましたが、何の心配もいらないです。」との事でした。

数日後、鍼の先生に聞くと、それは拝毒症状で、体質が変わったのだとおっしゃった。

その後上の子はお腹を壊しにくい体質に変わったのですが、それだけでは無く、ずっと異常値を出していた膵炎の膵酵素の検査では完全正常値になったのです。次の大学病院での画像検査では、高性能の大学の機器でもってしても、あった筈の慢性的膵臓の炎症の影が消えて無くなっていました。

犬の場合慢性化した膵炎は生涯闘病という現実を覆したのです。上の子は完治しました。お薬も注射も入院も必要ない健康を取り戻したのです。

下の子にも変化が訪れました。肝臓が小さい事は細胞異常ですので変わりませんが、一緒に診断してもらっていた脾臓が初めて正常な大きさに変化しました。食事をしてどのように肝臓に負荷がかかるか？食前食後の総胆汁酸の数値をずっと追っていたのですが、どちらも一桁キープ。正常値を初めてひきだした。しかも前に比べてモリモリ食べる様になったにも拘わらずでした。吐く事もなくなり、注射も薬も必要なくなりました。

これは通常医療ではあり得ない快挙。

奇跡が起きてしまったのです。そしてこの奇跡はこれだけでは終わらなかった。但し本当の奇跡が起こるまでは、まだ一山も二山も越えねばならない壁が待っていたのですが。。。

私は父の事。もう一度深く考えだした。思いついたのは「バシャール」という本。もう一度読んでみよう。今なら父の講釈無しで読める。あの時、父がどのように心狂わせ、私に愛人になれと言ったのか？

それから考えよう。。。

手元にはもう無かった「バシャール」。アマゾンなら古い本も手に入るだろうと探し、私は注文しました。

その本が届いた同じ日に世田谷の福祉課から一通の封書が届いた。

書かれていたのは一文。

「お父様の事で重要なお話があります。必ず連絡をしてください。」

金曜の夕方だった事から私は週末、どんな話なのか？本を読むどころでは無くなり悩み続けました。