船乗りのヨメ２

第12話 男前

　寝る前に、長男（小2）が言いました。

「……おかあさん、俺、最近顔がだんだん自分でも男前になってきたと思うねん」

　……面白いこと言いますね……。

　割と昔からオレ様モテ男発言をやらかす長男ですが、久々にヒット。

「……日焼けして黒くなってきたからとちゃう？」

「あ、そーか」

「……面白いこと言ったから、10点あげるわ」

「ほんま？ やった！」

　私は息子が面白いことを言ったり、うまいことを言ったり、虫を退治したり捕まえたりすると、そのたびにポイントをあげています。（ハエや蚊一匹につき、1点。オニヤンマやカマキリは5点）

　ちなみに今、それぞれ25ポイントずつぐらいです。

　連日のプールの授業で全身が黒くなってきた長男。

　肌が黒くなると引き締まって見えますしね。

　……親バカを承知で申し上げますと、実は私自身も、長男が最近なかなかイケてきたなあ、と思っておりました。

　まあ、まだまだ少年でありますが水泳をしてるせいもあって、体型は細マッチョ、顔つきも黒くなって引き締まり、目鼻立ちが極だってきたといいますか。

　男！ に近づいてきたわけですね。

　このままいけば、割と男前になるのではないかと思っています。（親バカ以外の何物でもない）

　ところで、長男が習っておりますスイミングのお話ですが。

　長男はただいま、クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライの四泳法を習い終え、仕上げの段階に入っております。

　それが終わると、タイムの段階になるわけですね。

　小2でこれは結構、大したもんだわ、と思います。

だって皆さん、バタフライって、泳げますか？

　私の年代、それ以前の年代の方のほとんどにとっては「バタフライ」って未知の泳法だと思うのです。

　学校で習うのは、クロール、平泳ぎ、背泳ぎの三泳法だけでしたでしょ。

　今は、バタフライを入れて四泳法を学校で教えるのですって。

　下の姉に教えてもらいました。

　下の姉は体育教師なのですが、バタフライを教えることになって、あわてて習得したそう。

　バタフライ、ってプロがする泳ぎ方、というイメージが私にはあります。だから、バタフライが出来る、なんて聞くだけでスゴイなあ〜と、その人を尊敬したものです。

　あのイルカみたいな躍動感のある足の動きと水をかく羽の腕。タイミングを合わせるのが難しそうです。

　そして、あの腰の動き。

　……なに、あの腰の動き。

　絶対に私ならギックリ腰を起こしそう。

　私の父も母も主人も、もちろんバタフライなんて出来ません。

　今度、家族で白浜への旅行を計画しているのですが、ホテルのプールで、息子にバタフライを教えてもらおうと予定しております。