第13話 真珠の耳飾りの少女

 ちょっと前(だいぶ前?)にコットンパールが流行りましたよね。


 姉が耳に大きいコットンパールのピアスを着けているのを見て、私は。

 フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」(青いターバンの少女)を思い出しました。


 数は少ないですが、そのどれもが珠玉の作品のフェルメール。

 中学の美術の先生が『フェルメールみたいな画家になりたい』と言ってましたね。

 美術に興味がない方でも、あの絵は好き、という方は多いのではないでしょうか。


 過去に、この絵を題材にした恋愛?小説「真珠の耳飾りの少女」を読んだことがあります。そしてそれを映画化した作品(スカーレット ヨハンソンが主人公)も観ました。


 ネタバレになりますが、その話をしたいと思います。


 私の心に残った珍しい恋愛(?)小説でありました。

 絵のモデルになる少女を主人公として、彼女と画家フェルメールの関係をかいたお話。(彼女はフェルメールの家に女中としてくる)


 主人公の少女は類稀なる美的センスを持っています。フェルメールもそれに気付き、そしてそれが自分と似かよったもの、もしくはそれ以上のものだと分かります。

 年齢も立場も全く異なるのに、言葉を交わさずとも深いところで理解し、通じ合っている二人。

 それをフェルメールの奥さんは女の勘で勘づき、良く思いません。奥さんは芸術に対して全く理解出来ないのです。しかし、フェルメールとの夫婦関係が悪いわけではなく、毎年のように子供を産みます。

 少女はモデルを務める中、フェルメールに惹かれていきますが、どうすることもできません。その想いを自分に気がある青年相手に昇華したり、などとモヤモヤするところもありますが話のクライマックスはあの真珠の耳飾りのシーンです。


 真珠の耳飾りは奥さんの宝物。

 それを使わないとこの絵は完成しない、と二人にはわかっています。

 奥さんに内緒で、とうとう真珠を使用することに。


「刺してください」


 二人きりの暗いアトリエでフェルメールに耳を差し出し、頼む少女。

 苦痛に耐える少女のシーンに、何かを連想したほとんどの読者は息を飲むわけですが、私なんぞはもうクラクラ。


 そんなこんなで実際に少女とフェルメールは何も起こらないのですが。(フェルメールが少女のことをどう思っているのかはわからないまま)

 真珠を使ったことは奥さんについにバレてしまいます。

 映画ではこのときの奥さんの演技がスゴイ。

 嫉妬で怒り、少女を罵る姿が激烈に醜いのです。

 奥さんのほうが正しくて、可哀想なのはわかっているのですが、あまりの醜悪さに奥さんが悪者に見え、可憐な少女が天使に思えるほど。

 そののち、少女は自分に気があった肉屋の好青年(イケメン)と結婚して子供を産み、忙しい生活を送るのですが。(人生の選択としては正解です)

 ある日、故人となったフェルメールの遺言だと、彼女のところに使いの者が来ます。

 そして、あの時のフェルメールの真実の気持ちを彼女はようやく知るのです。――


 私はこの物語を読み終えて、恋愛小説ではないかな、と思いましたね。

 なんというか、『ソウルメイト』に出会ってしまった男女の話。

 恋人や結婚相手にはなれないのですが、自分にとって運命の人。


 運命の人、なんてそうそう出会えるものではないですし、普通は会えないまま終わることの方が多いんじゃないかと思います。

 そう考えると、この二人はとても幸運な二人だったのでしょう。そして、あの名画が誕生したのは素晴らしいですね。(もう、私の中ではこの物語は実話としか思えない)


 いやー、あこがれますよね。ソウルメイト。

「あなたの運命の人は」、なんて占いで言ってもらうと高揚する乙女心。


 ソウルメイトは同性異性関係ないそうです。

 いつか巡り合ってみたいですよね。


(……皆さんも私もすでにその相手に巡り会っているけど、気が付いていないだけ、というオチもありそうですけどね)















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