第5話映画と小説

 映画「チャーリーとチョコレート工場」をテレビで観ました。


 原作の児童書「チョコレート工場の秘密」を読んでいた私はやっぱり、原作の方が映画より面白いと感じました。

 本だと自分の好きなように頭の中で想像できますから。


 本で原作を読む方が映画化された作品を鑑賞するより、はるかに面白いのが当たり前だと私は思っていたのですが、そうでもないようです。

 人の脳には様々なタイプがあって、自分と同じようだとは言えないのですね。


 知人から聞いた話です。

 ある時、何人かで集まったときにハリーポッターは、本を読むのと映画を観るのとではどっちが面白いかという話題になり。

 もちろん本が面白いという答えがほとんど返ってくる中、話題を出した当の本人の方はやっぱりそうなんだ、とため息を。

 その方は小さい時から本を読むことがとても苦痛だったそうです。

 なぜかというと頭の中でイメージがわかないのですって。

 ですから、その方にとっては小説を読むことは、説明文や論文を読むような感じでちっとも面白くないのだそうです。

 その方は、ハリーポッターを映画で観てから本を読んだ時、やっと映像を頭に思い浮かべることが出来て、初めて本を読んで面白いとはこういうことか、と感じたのだそうです。

 そんなタイプの脳の方もいるのですね。


 本が嫌いな方とか、精緻な描写を求められる読者さんというのは、そういう脳タイプの方かもしれないな、と思いました。


 話は変わって、小説と映画、両方で成功をおさめる作品というのはなかなかに少ないのではないでしょうか。


 そんなにいろんな作品を見ているわけではありませんが、映画化した作品を見てガッカリしたことの方が多い気がします。やっぱり、自分の想像力に勝るものはないのかなあ。


 そんな中で、原作とは違ったストーリーで成功をおさめた映画がいくつかありますよね。

 それはもう、全く別物の作品になってしまったからこそ成功したのではないかなあ。


 例えばオードリー・ヘップバーン主演の「ティファニーで朝食を」なんて、原作と全く結末が違います。私は最初に映画を観ましたが、本を読んであまりの違いにびっくり。


 作者のカポーティは、このお話のヒロインとしてマリリン・モンローをイメージしたとか。

 確かに、本のホリー・ゴライトリーこと「ルラメイ」さんは映画の「ルラメイ」さんをはるかに凌駕する超・奔放な女性です。

 ※ネタバレになりますが、原作のルラメイさんは映画のように主人公の男性とハッピーエンドになることなく、彼とは友人枠のままで終わり、その後いろんな男性を乗り越えた上で、最後は未開!の大地に飛び出ていきます。


 なんだかここまで突き抜けていると、同じ女性としてもカッコ良いと思ってしまいます。(←美女だからこそ似合うことですけど。自作のキャラのモデルにしました)

 こういうわけで、私は本のルラメイさんの方が映画のルラメイさんよりも好きですね。


 そんな本のルラメイさんですが、私の脳内イメージはばっちり、映画どおりのオードリー・ヘップバーンでした。

 私の中では「ティファニーで朝食を」はもう、完全にオードリー・ヘップバーンしか浮かばない感じ。マリリン・モンローには変換出来なかったですね。

 これはもう、オードリーの魅力が素晴らしすぎるからでしょうね。キャラクターよりも、オードリーの存在が勝ってしまった? のかしら。


 オードリーにしては、意外なキャラ、原作のままの放縦ヒロインを演じるのを観てみたかった気もします。

 でも、大衆ウケを狙うならやっぱり映画のような結末が良いのでしょうね。

 だからこそハリウッド映画の名作になったのかなあ。




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